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2009.12.09 (Wed)

初恋ソムリエ


初恋ソムリエ
(2009/10/2)
初野晴

少年少女は忙しい。
勉強はせにゃならないし、
部活も全力勝負だし、
片思いの相手に熱い視線を向けなきゃだし。
謎だって放っておけない。
もちろん恋敵を蹴り倒すことも忘れずに。

廊下を走るな、なんて
殺生ですよ、先生。

【More・・・】

なんてこっ恥ずかしいタイトルでしょう。
キラッキラした青春が詰まっていそう。
で実際詰まっているのはというと、
弱小吹奏楽部の面々の、部員集めと練習に必死な日々と、
高校生を妙な方向にはみ出した少年少女の戦いの日々。
ある者は家と、ある者は社会と、そしてある者は自分自身と。
それこそ自分の全部をかけて戦っている。ときどき逃げながら。
「先輩、好きです!」なんていう青春は一つもないけれど、
ここにあるのはまぎれもない青春なんだと思う。
一分一秒も無駄にできない、
突っ走って転んで、もんどりうっても進むしかない毎日。
彼らはやはりみんなキラッキラしている。
すでに突き抜けたはずの大人たちも含めて。

「退出ゲーム」の続編、ということで、
チカとハルタは高校二年生になりました。
吹奏楽部としての「甲子園」を目指しながら、
相も変わらず、妙ちきりんな生徒たちを追いまわしたり、
ときには巻き込まれたり、部のために派遣されたり。
こんな二人とあの面々がいる学校なら、
傍からみているだけでも大変楽しいだろうなと思う。
「発明部」がどこに盗聴器をしかけているか分からない旧校舎に、
ヘルメット姿の美少女や、「初恋研究会」が存在し、
オールバックのソムリエがいる学校なんて、そうそうないでしょう。
マレンとハルタと成島さんの放課後の即興演奏も、
園芸部と化学部の見栄の成果のアジサイも、
どれか一つでもあるだけで学校が随分楽しい場所になりそう。
チカが私立の素晴らしい設備をうらやましがる気持ちも分かりますが、
彼らが通う学校の、絶妙な混沌具合も羨ましい。
諸々の面倒には目をつぶって、もう一度高校生をしたくなりました。

チカの言う「この学校の頭のおかしな生徒」である者たちは、
誰も彼もものすごく真面目なんだと思う。
まあ、真面目というのは行き過ぎると往々にして「変」になるものだけど。
でも「初恋ソムリエ」を名乗る興信所の後継ぎ朝霧も、
美貌をヘルメットの下敷きにしたトレジャーハンターな麻生さんも、
著しく普通の高校生からは逸脱しているけれど、
その胸の中にはきらめく汗を流す青少年と変わらないものがある。
もしかしたらそれ以上に硬い何かかもしれない。
今その瞬間が重要なはずの青春の中にいながら、
彼ら変人たちは大人顔負けの真剣さで将来を見つめている気がした。
自分には何ができるのか、何をすべきなのか。
それを考えて、すぐさま行動する。
同じ年頃の自分がそうしていたかと言えば、自信はなく…。
青春は、その年代のことではなく、
走り出すまでの時間の短さのことなんじゃないか、とか思ったり。

前作から引き続き、謎解き要素もパリッと効いておりました。
探偵が関係者を集めてあれこれ話すより、
放課後の教室とノートとシャーペンの方が自分は好みなんだと再認識。
あ、それが拝み屋の場合は例外ですが。
もちろんそこに糸電話やローカルラジオやおにぎりが加わっても大歓迎。
特にいつも協力的なわけでもないのに、
いつの間にかコンビで動いている恋敵の二人も楽しい。
「三銃士だ」とか言ってしまうカイユも素晴らしい。
あえて気になったところを挙げるなら、
草壁先生の過去や、二人の恋の話、ハルタの家庭事情なんかが、
おそらく出る、というか出てくれないと困る次以降に持ちこされたことですが、
それは気長に待つことにします。
来年中に出たら、めっけもんということで。

それにしても、
アジサイと化学部の関係くらい、
ぜひ即答してほしいところだと思うけれど、チカちゃん。


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ワインにソムリエがいるように、初恋にもソムリエがいる!? 初恋の定義、そして恋のメカニズムとは?お馴染みハルタとチカの迷推理が冴える、大人気青春ミステリ第2弾! 廃部寸
2012/09/25(火) 17:35:03 | 粋な提案

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