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2009.12.27 (Sun)

窮鼠はチーズの夢を見る/俎上の鯉は二度跳ねる


窮鼠はチーズの夢を見る
(2009/5/8)
水城せとな

理想を掲げて、そのためにフラつく男。
愛を掲げて、そのために自分を壊していく男。

どちらも褒められた在り方じゃないけれど、
埋められない欠落を持ち寄って、
離れず歩いていけるなら、
それはそれで、幸せなんだろう。

彼らがそう信じられるなら。


【More・・・】

聖なる夜になんて買い物をしているんだ自分は…。という二冊。
まあ、内容的には大満足だったんで、
文句の言いようもないけれど。
それにしても、ヤマシタさん張りにモノローグ祭りだなあ。
「窮鼠…」を読んで一言言うなら、この流され侍が!で、
「俎上…」なら、この情緒不安定男が!なんですが、
なんだろうこの二人、面白いくらい違うベクトルでだめ人間だ…。
そのせいでイライラする場面もあるんですが、
まあ、「業」を負った者なんて、みんなこんななのかも。
他人事であるうちは、イライラするくらいのスタンスで丁度でしょう。
二人のうちどちらにしろ、引きずられるにはキツすぎると思う。

一読したときは恭一がどこを向いてるのか正直分からなかったんですが、
二冊通して再読してやっと、おぼろげに見えた気がします。
車の中で今ヶ瀬が指摘しているように、
大伴恭一という人の基本は、おそらく劣等感と自己嫌悪なんでしょう。
劣等感というのは、ちょっと違うか。
誰かに劣っているというよりも、異なっている、同じになれないという、
元来誰にもどうしようもないことを、真面目に気に病み続けているような。
想ってくれる相手と同じ嗜好をもてないこと、
その気持ちさえ同じ重さにならないこと。
真面目はいいけれども、同じになろうとするのは優しさかもしれないけれども!
その結果が八方美人の流され侍な辺りが、なんだかなあと思う。
「俎上…」では、多少ブレが小さくなっているけれど、
今ヶ瀬に対しては、多分ずっと同じになれないことでグラつき続けるんだろうなあ。
傲慢な分「不幸体質」なのは、実際この人の方じゃないかと思ったり。

そしてその流され侍の漂流先、今ヶ瀬ですが、
「窮鼠…」では半年の待てができるくらいには
それなりに自分を保っていたのに、
「俎上…」ではもうグスグスのボロボロになっている。
本人が述懐するように、粘着質で嫉妬深くて面倒くさいことこの上なし。
でも、夏生先輩とたまきの言葉を借りるなら、
「情熱」をもって「自分の形を保てなくなって壊れ」ているこの人は、
本当にもうどうしようもないくらいに、侍に惚れてるんだろうなと思う。
それでも自分をわきまえようとして、し切れないものだから、
侍の気質と性質と相まって、面倒事の繰り返し。
それで自分も侍もそれから周囲も傷つけるワケで、救いようがないなと思う。
だめな二人が寄り添って、それでどこへ行けるやら、ですが
なんだかんだ言って、10年でも20年でもこんな風にやっていくんでしょう。
それぞれがそれぞれの幸せを定義しながら。

それにしても、夏生先輩やたまきといい、
この二人の周りの女性は出来た人ばかりで贅沢だと思う。
特にたまきの真っすぐさと強さは、全くもって見上げたもの。
お母さんとパパが本当に頑張ったんだろうなあ。
それから、水城さんの構成の妙は嘆息ものだった。
大きいのから小さいのまで、色々仕込んであって大変楽しい。
特に最後の回で、黒白の恭一の意見が一致して
それをダークグレーのコート着て一蹴するなんて、
もう感じ入っていいやら、笑っていいやら。
恭一は「証」を、今ヶ瀬は「お守り」を互いに交わす辺り、
やっとこの人たちは互いと自分を分かり出したんだろうなとも思った。

カワイイではなく、「可愛い」と感じるのは
だめで面倒臭いほど、かもしれないなと思った。

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