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2010.02.06 (Sat)

まほろ駅前番外地


まほろ駅前番外地
(2009/10)
三浦しをん

まほろの町に住む人々で、
駅前をねじろにする便利屋を知る人は、
そう多くない。むしろ少ない。

でも、彼らを知る人で、
そこの主と助手を忘れてしまう人は、
そうそういないじゃないかとも思う。


【More・・・】

懐かしいというほど前に読んだわけでもないんですが、
続きがあるなら、と期待していただけに、
まほろの町の愉快な面々に再会できたのは嬉しい。
便利軒の主と居候もさることながら、
表通りに生きていないくせに妙に所帯染みた星や、
岡夫妻にルルに愛すべきガキ・由良公…。
さらに新たな面子も加わって、
相変わらず便利軒の周囲は賑わっている模様。
時間が経った分新たな問題も見えてきていますが、
とりあえず、皆々様が元気にやっているようで何よりです。

いわゆるスピンオフの話だけかと思いきや、
しっかり多田と行天の便利軒の話もあって、大満足。
まあ、彼らではなく由良公や岡夫人が語り手の話も、
全く見劣りせず面白かったんで、文句なぞありませんが。
たとえば星くんと由良公の一日をそれぞれ追う、
「星良一の優雅な日常」と「由良公は運が悪い」なら、
便利屋と関わりになっていないときの彼らの日常を垣間見つつ、
それでも関わってくる二人の影に笑いつつ、
しかもそれぞれじわっと何かがにじんできた。
特に由良公の日常、というよりは
まさに不運な少年の、非日常な休日の話は、
由良公の賢さと寂しさと、
それから多田と行天の思いが交叉すると共に、
前作には登場しませんでしたが、気になっていた人が登場し、
二人に再び関わる機会を得られたことが、
なんだかすごく喜ばしいような気がした。

三浦さんの本を読むたびに感じるのは、
希望というか善なるものの力強さで、
その存在を書き手は信じてるんだろうな、とか
勝手なことを考えます。
登場人物の誰も声高叫んだりはしないけれど、
錐を手にした星くんも、行天に駆け寄る由良公も、
また目が覚めるがどうかを思いながら床につく岡夫人も、
確かにそういう暖かな何かを見つめている気がする。
じっと、というより、
視界の端にちらっと収めたり、焦点の合わない形で。
その分便利屋の二人はそのやり方を忘れているよに見えますが。
でも二人が微妙な距離を保ちながら共にいることや、
そのやり方を知る人々と関わることで、
少しずつ変化しているようでもあって、
岡夫人じゃありませんが、もっと二人を見ていたくなりました。

赤・緑とポケットに入るモンスターのような感じで二冊出ましたが、
まほろ駅前のお話はまだ続くようです。おそらくは。
行天の過去の話について言えば、
多田とはるを中心にした部分は明らかになりましたが、
どうやらまだ何かあるようで、
このまま終わられては、甚だ座りが悪い。
岡夫人の見た行天少年と、「なごりの月」での大人行天の動揺。
それをつなぐ何かが、きっとあったんでしょう。
星くんと清美ちゃんとシマの生活。
それからついで、と言ってはなんですが、多田のロマンス。
ぜひとも次は「青」か「黄色」でお願いしたい。

「母親かっつうの!」という星くんに向けての清海ちゃんの言ですが、
彼女の気持ちは分かりますが、むしろ星くんは嫁っぽい…。
夫に「逃げ」出された亜沙子さんより、とか思うあたり、
自分も大概だなあと改めて思いますが。

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