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2009.04.26 (Sun)

蛍火の杜へ


蛍火の杜へ
(2003/7/5)
緑川ゆき

繋がりたいと
春夏秋冬
手を伸ばす。

そんな人々の物語。

【More・・・】

素晴らしい。
なんだかもう好きが過ぎてどうしていいやらです。
「夏目友人帳」以前の緑川さんの短編集ですが
春夏秋冬それぞれが舞台の短編4つ、どれもいい・・・!
春の高揚感、夏の光の陰影、秋の色彩、冬のぬくもり
それらと人の感情の揺れがマッチして
白黒の漫画のはずなのに、えらく色の印象が残りました。

その中でも表題作「蛍火の杜へ」と「ひび、深く」が
ぐわっ、やられた!な感じ。

夏の森で、人ならざるものに出会う。
そこまでは定番な気もしますが
多くの「それ」との出会いはひと時のもの。
その肉感は時とともに幻になる。
ただ、「蛍火の杜へ」はその逆。
触れると終わる繋がり。
でも、触れない限りは何年でも続くはずだった、繋がり。

セリフとセリフの間にある一コマが、たまらなくうまいと思う。
たとえば泣く蛍のそばでうずくまるギン。
「一緒に」の言葉を聞いた後の、静寂。
繰り返される二人の後ろ姿。
その時々の表情がとぼけた面の下に見えない分
光やその陰、祭りのきらめきが
そこにあるものを伝えるんだろうなあとか、
分かったような口もききたくなるくらいなのです・・。

一転、冬。「ひび、深く」
「蛍火の・・」との共通点を考えたとき浮かぶのは
禁忌というようなものを扱う緑川さんの姿勢でしょうか。
どちらの話も「してはいけないこと」が背後にあって
それを「心」や「感情」の名の下に踏み越えることを
美徳のように描く物語の多い中、
緑川さんの物語の主人公たちは、あくまで留まる。
封建的だとかそういうことではなく、
それはやはり同じ「感情」の名の下に、彼らは律する。
その姿勢が物語を支えている。
良い悪いよりも、美しいと思う。

「夏目・・」以外の緑川さんの魅力にあてられたので
その他の作品もチェックしてみよう。
しかし、最近漫画ばっかり読んでる気がするなあ。


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テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


18:58  |  緑川ゆき  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

あこんさん はじまして。
きみやすと申します。

「蛍火の杜へ」
いいですよねー。
あこんさんの感想を読んで
色んなシーンが思い出され、また読みたくなりました。
(文章、上手いですね~)

「ひび、深く」もいいですね。

安易に流されず、律する彼らの美しさ
やわらかい中にも、芯が通っているところが
自分も好きです。

自分はこの著者の作品では
『アツイヒビ』という作品もオススメです。

それでは。
また、遊びに伺います。


きみやす |  2009年04月28日(火) 12:51 |  URL |  【コメント編集】

●Re:

きみやす様、はじめまして。
管理人のあこんです。

緑川さんの描く強くて優しい人々が好きで
「蛍火の杜へ」にはすっかり飲まれてしまいました。
律する姿勢には憧れるものがありますね。

つたない感想でしたが
うなずいて頂けて嬉しい限りです。

「アツイヒビ」も短編集なんですね。
未読なので期待して探してみたいと思います。

コメントありがとうございました!
あこん |  2009年04月28日(火) 20:56 |  URL |  【コメント編集】

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