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2010.03.14 (Sun)

きみにあげる。


きみにあげる。
(2010/1/30)
槙えびし

店主は眠る、ときどき茶をいれる。
居候は慣れない家事労働に勤しむ。
後見人は目を光らせ、追われる者は帰還する。

全てはある茶屋での出来事。
中国茶の香る愛しい物語。


【More・・・】

中国茶といえば、土産物。
小さな茶器一式と一緒に頂いたことがあるものの、
ものが悪いのか、入れる者の腕が悪いのか、
なんだか苦いばかりで、美味しかった覚えがない。
残念ながら茶葉も茶器もどこか戸棚の奥に消えました。
とすると、中国茶屋「お茶やど」の茶は、
ものがいいのか、主人の腕がいいのか、
多分その両方なんだろうなと思う。
普段から中国茶に親しんできたとも思えない男が、
差し出された一杯の茶に救われたり、
天敵でさえ律儀な常連になってしまうくらいだから、
きっとうまいに違いない。
近所にあったら行ってしまうかもしれない。
店の由来のきな臭さは脇にどけて。

店の主人はどうやらおばあちゃん子のようですが、
お茶好きも、なんだか年寄りじみた物腰も、
そういう流れで身についたものだとしたら、
生まれた家とは相いれなくても、
蓮はそれなりに愛されていたんだろうなと思う。
近所や世間そのものから疎まれていたとしても、
蓮にはばあちゃんがいて、律がいて、
その律に息子を託した父親だっていたわけで、
多分、透騎が家を壊すまで、
自分の世界、自分の生まれた場所がどんな場所なのか、
本当には知らなかったんじゃないかという気がする。
だからこそ、自分の願いが引き起こしたことにおののいて、
捨てることを選択肢としてもてなくなったのかも。
本人が述懐する通り、全くもって褒められた姿勢じゃないなあ。

一方でその兄たる透騎さんですが、
実際もの凄く優しい人間なんだろうなと思う。
蓮とは違って家の外で育ったからこそ、
自分と血の繋がる家から続く因縁を強く感じざるを得なかったように見える。
それでも、狭い家の中、ある意味温室育ちの腹違いの弟を、
憎みも恨みもせず、やり方はどうあれ大切にしようとした。
そうして頑張って望みを叶えてやって、
一年逃げ回ってやっと帰ってきてみれば、
弟は別の世界の入り口に立っていたわけで、
兄ちゃん的にそりゃないだろうってなものです。
その上「関係」とか言われちゃあ、そりゃ怒髪天も突きますわな。
弟くん、せめてもう少し褒めてやればいいのに。
後見人の頭かち割ったりはしても、
最後まで弟には乱暴せず、話に耳を傾ける分別を見せて、
退場していくお兄さんが悲しかった。

土下座っぷりとベタな新妻のような不器用さが見事な飯沼くんは、
警察と元組員両方に追われている透騎の次くらいに、
マズい状況のはずなのに、なんだろうこの平和さ。
のこのこ近所に買い出しに出て大丈夫なのか、あんた…。
世間を知らない蓮でさえ心配する気持ちがよく分かる。
かと思うと、自分のことは見えてないくせに、
他人のことには敏感で突っ走る傾向がある模様。
それもどんぴしゃじゃなく、若干ずれた方向に。
だから借金背負う羽目になったりするんだろうなあ。
まあ総じておそらく嫌味なしに、いい人、なんでしょう。
人が好いといえば、律さんも負けてませんが。
それにしても蓮以外総じて若く見える。
飯沼くんと透騎が二十代後半、蓮がやや下だとして、
律さんに至っては、一体何歳なんですか…。
「おとうさん」はないとしても、
蓮との年齢差から言って、四十は越えてますよね、多分。
飯沼くんの天然ぶりよりも、こっちの方が驚異だなあ。

白と黒の対比がとても美しい、
不器用極まりない人々、と猫のお話でした。

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テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


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