2017年08月 / 07月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫09月

2010.03.31 (Wed)

70億の針 4巻


70億の針4
(2010/3/23)
多田乃信明

誰しも悩みがあって、
それを乗り越える方法を知って、
想いを抱えてまた歩く。

彼女たちのことをもっと知りたかった。
そうすれば、
その心について行くこともできたのに。


【More・・・】

思いがけず最終巻。
某少年誌以外の仕組みを知りませんが、
これはあれか、打ち切られたんだろうか。
終盤の大急ぎな雰囲気にその感がにじみ出てるような。
ヒカルだって「突然すぎるよ…」とか言いたくなる急ぎよう。
あるいは思惑通りの運びで終わったのかもしれませんが、
それならそれで、やはりどうも釈然としない。
マキおばさんの想いにしろ、チカの孤独にしろ、
あまり彼女らのことを知らないうちにどんどん進まれて、
置いてぼりにされてる気分になってしまった。
打ち切りのせいで語るだけの時間がなかったのなら、
それも仕方ないのかもしれませんが。
ただ、打ち切られた原因を考えるに、
父親のことやヒカル自身のことについて、
語りが不足していた感じが一因なら、
この結果も致し方ないと言えばそうな気もする。

前巻、亜種に取り込まれた段階で、
ヒカルのいない家庭を望んでいた風だったマキおばさん。
二匹の協力でおばさんの記憶を見るわけですが、
難しい子と向き合う悩みとその分だけふくらむガッツが、
ヒカルを拒否した叫びとどうもかみ合わない気がした。
優しさと根性を合わせもっていても、
どこかでもやもやしたものを溜めこんでしまうことはあると思う。
でもおばさんは多分、その解消方法を知っている。
雨の中自転車で爆走して叫ぶ、なんて、
まるで男子高校生のような方法だと思うけれど。
何はともあれそうして吐き出して、前を向くことができていた。
なのに、むき出しになった心はヒカルを拒む。
一体どういうことなんだろうかと思う。
あと、おばさんとヒカルの外見がかぶって仕方がなかった。
制服着てなければ、本当にこんがらがったかも。

なんだかんだでチカと友情を交わし、
テンガイが自己の存在意義を否定する形で調整者を説き伏せ、
三つの「仕組み」は宇宙へ帰っていきます。
ヒカルの中にカモの形の亜種を残して。
なんでメイルシュトロームがずっとカモ抱いてんのかの思ったら、
そういうことだったのか…。
二つの仕組みに加えて、膨大な亜種を飲み込んで、
ヒカルの体の許容量を越えた、というのも、
調整者の提案を「人間でなくなる」という理由で却下するのも、
理屈としては分かるけれど、なんだか違和感も否めない。
そもそもあれだけの量を飲み込めたヒカルの体にびっくりだし、
あれだけ飲み込んで、鳥やら何やらに散々形態変化して、
それでもテンガイがヒカルが「人間」であることにこだわっている、というのも
妙な、というか滑稽な話だなと思う。
そもそもテンガイのミスで一度は消滅させたのに。
去っていく異形のものたちに向かって「一人にしないで」、なんて
絶対の友情を一人の子と交わした直後に言うことじゃないよ、ヒカルちゃん…。

そんなこんなで突っ込みどころ満載の最終巻でしたが、
最後に収録されていた読み切り「ヒキコモリヘッドホンガール」は、
思いの外面白くて、絵柄もこの感じの方が好みだなとか思った。
題名の通りヒカルの原型のような少女がヘッドホンを外すまでの話。
音楽に溺れることで耳と心を閉ざすことを示す描写や、
本当に無理に張り付けたような無表情の描き方が、
ヒカルのそれよりも真に迫っているような気がした。
静寂を壊す乱入者に対するむき出しの怒りや笑顔も、
十代の女の子っぽくて、微笑ましく見える。
「治す」という言い方はちょっと気になりますが、
ラストの種明かしやその演出もうまいと思う。
まあ、話の性質上長く描くには向かないとは思うけれど、
こういう話なら、また多田さんの作品を読んでみたいと思った。

世界や宇宙をめぐる少女の奮闘の終わり。
かゆい所に少しばかり手が届かないもどかしさと、
もう少しで届くかもしれない期待が残った。

スポンサーサイト

テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


21:05  |  多田乃伸明  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/149-d200c0c2

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |