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2010.04.22 (Thu)

ひとり百物語 怪談実話集


ひとり百物語 怪談実話集
(2009/3/4)
立原透耶

あるはずのないものを視て、
すぐさま、ぎゃあっと叫ぶ人々は、
現実感覚が希薄なんじゃないかと思う。
え?とか、あははくらいが丁度良い。

何しろそれは、
真実「在り得ない」ものなのだから。

立原さんは後者らしい。

【More・・・】

物語は誰かに語ってこそなのに、
一人でするなんて、しかも百物語を。
本の体裁の話ではありますが、
一人きりで怪談を語り続ける様を思い浮かべると、
なんだかそれだけで十分怖い。
一本ずつフッとロウソクが消えて、
最後の一本が消えたとき、語り部は闇に沈む。
去年の夏にNHKさんで深夜百物語をしてましたが、
合間に妖怪図鑑みたいなものを挟んでいたので、
実際「語られた」話は百にはなっていませんでした。
それに対してこれは怪談「実話」集。
語り手一人の怪談を聞き終わって、
立原さんの身を案じずにはいられない。
どれだけ身近に怪談があるんだこの人は。

とはいえ、厳密に言うと、
二、三割は人聞きの話なので「ひとり」という訳でもない。
まあ、だとしてもこの数は多いと思いますが。
話の質としては、「視た」系のがっつりものから、
「あれ?」というニアミスものまで様々。
印象的だったのは、夢の話の多さでしょうか。
立原さんの性質の関係なのか、
夢で知る、聞く、教えられるというエピソードだらけ。
これだけ見るというのも凄いと思いつつ、
夢というのは概して本人にとってだけ意味をなもので、
ゾッとしつつも、実話感が薄れてしまったような気もします。
夢でテストの内容を当てるとか、
もうそれは怪談というか、超能力話なような。
その二つの差はどこかなんてよく分からないものの、
百の「怖い」話を期待して読んだ身としては、
やや肩透かしをくらった気分。

そんな中で、うわ、と寒気が走った話は、
「長い髪 其之五」「手押し車」「カーテン」辺りでした。
怪談に対しては妙な感想かもしれませんが、
結局自分は即物的な恐怖に弱くて、
その上それが好きなようです。
怖いと思うのは、はっきり「視える」ものばかり。
しかも、何かしらの気色悪さとか、悪意を含んでいるもの。
品のある冷たい恐怖を感じる感性に乏しいのかも。
「準備をすれば」シリーズなんかは、
へぇとは思うものの、怖いとは全く思わない。
そういうこともあるだろうな、という程度。
恐怖の種類は人それぞれだとは思いますが、
怪談好きとしては、できるだけ色んな話を楽しみたいだけに、
分からないというのは、なんだかもったいない。
とか、怖い話が嫌いな人からしたら、病気だろうけれど。

深夜の中古車販売所の車の中に座る男や、
車と同じスピードで走る男、
レッカーされる事故車の中で笑う女性を視て、
すごいなあと思ったり、憤慨したりする立原さんは、
すごい量の体験をしながら、妙にズレている気がする。
怖い話につきものの、「実は…」というオチも、
どこか曖昧だったり、明らかにされなかったりもする。
そのズレと起承転結のはっきりしない感じに、
少なくともこれは立原さんの実際の話なんだなと思った。
たとえそれが怪談としての怖さを減じても
「実話」の看板を掲げながら、
あまりに物語染みた話よりはいいかもしれない。
現実にはオチも山場も普通はないわけで。
思いっきり物語化された怪談も、
それはそれで好きだったりするんですが。

自分が百物語に参加するなら、
かなりの大人数でしなければ。
立原さんと違って、そんなに自前の話はないので。
まあ、そんな機会は今のところなさそうなので、
これからも誰ぞの語りを読んで満足しておくことにします。

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