2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

2010.05.03 (Mon)

ブータンに魅せられて


ブータンに魅せられて
(2008/3)
今枝由郎

宗教。王。鎖国。
それらの言葉にまとわりつく、きな臭さ。

ブータンという国の在り方に、
全てを覆された。


【More・・・】

単純に距離で考えれば、
ブータンはそれほど遠い国じゃない。
同じアジアの一国で、
日ごろお世話になっているアラビア諸国なんかよりも、
かなり身近と言えると思う。
でも、未知の国という意味で言えば、
そこはやはりはるかな場所。
実際に行こうと思うなら、
今枝さんがしたような苦労にも直面する。
直行便がいくつもあるヨーロッパ圏の方が、
まだ近いような気さえする。
だとしても、今枝さんの目を通してみるその国に、
どこか懐かしさを感じたのは、
仏教や肌の色での繋がりのせいだけではないと思った。

ブータンの国立図書館の顧問として、
十年をかの国で過ごした今枝さん。
さらりと書いているけれど、
ブータンにそんな日本人がいたことなんか、
恥ずかしながら、つゆとも知らなかった。
自分の世界の狭さを痛感する。
それはそうとして、
ブータンの内部のあれこれは、
本当に目からうろこだった。
多少なりともブータンに興味を持っているからこそ、
こういう本を手に取ったりもするわけですが、
そこに描かれている街や人の様子には、
ここは自分の知らない世界なんだと思わずにはいられなかった。
前言と矛盾するけれども、
自分の知らない世界があるということを単純に嬉しくも思う。
一言で言ってしまえば、読んで良かった。

とは言いつつまだうだうだ書きますが。
ブータンの歴史や国民の生活、考え方等でも、
ほうっと思うことが多かったものの、
何よりも胸にしみたのは、
第四代国王とロポン・ペマラの人となりでした。
「王」という存在が一体どういうものなのか、
はっきりとしたことは分かりませんが、
若くして即位して三十四年の治世を行った国王は、
確かに「王」、国を治める人だったように思えました。
あまり好きではない言葉だけれど、器が違う。
それはロポン・ペマラにも言えることで、
一つのものに生きるということは、
こういうことなのかと思った。
地球は狭くなったというけれど、
人の懐、その中にある世界は、
多分自分が考えるよりもずっと広くて深い。
それを一瞬で感じられるような人物に、会ってみたいと思う。

国民総幸福という理念について、
全く別のベクトルだけれど、
「戦争は希望」と同じ響きをもって、
この本を読む前は聞いていた。
どこか現実や生きている人間から乖離したような。
でも、国王はむしろ人だけを見つめていた気がする。
人々の生活と伝統をじっと見つめ、学び、
そうしてその総体としての国のことを考える。
ブータンが目指しているものは、
国民総生産の数字が表すものなんかよりも、
ずっと実際的なのかもしれない。

ブータンがどこへ行くのか、
それはどの国の未来でも同じように、分からないけれど、
少なくとも、あんな王のいる国が、
どこか羨ましくなった。



スポンサーサイト

テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


14:10  |  あ行その他  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/165-3946ec63

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |