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2010.05.12 (Wed)

狼と香辛料


狼と香辛料
(2006/2)
支倉凍砂

賢いということは、
己を知ることだと、神は言う。

はかなげな少女の外見に
獣の耳に豊かな毛並みの尻尾。
くるくる変わる表情と不意に見せる揺らぎ。

きっとこの神は、
自分をよく知っている。


【More・・・】

大きな獣が好きです。
サンやアシタカより、
モロ母子やオッコトヌシ様にメロメロでした。
というわけで、ホロが大きな獣の足を見せた途端、
この妙な言葉遣いの狼の娘が好きになったという。
元の姿は、さぞ大きく美しい獣に違いないと期待して。
まあ、正直に言ってしまえば、
人の身体に獣耳とふさふさ尻尾というのも、
どストライクだったりするんですが。
という感じで読み始めた二人旅の物語。
最初から期待していた部分以外に、
意外なストライクゾーンを見つけましたとさ。

アラビアじゃないロレンスも、
自ら賢狼と名乗るホロも、
本当に切れる頭の持ち主のようです。
ロレンスが商売の駆け引きや貨幣の価値の変動など、
経済の仕組みをさらさらと説明する度に、
そんなことを思いました。
本人は怒り心頭でしょうが、
豊作の神なんていう、
貨幣がものを言う世界から乖離した存在であるホロも、
何百年という生の長さ以上の回転の速さと柔軟さを見せる。
そういう二人が話す様は、見ていて気持ちがいい。
高尚な会話だからとかじゃなく、
分からないことは分からないと言いながらも、
自分より優れた部分を相手の中に見つけ、
その上で、見くびられない切り返しを探す。
二人の会話には、いつもどこかそういう緊迫感があると思う。
大概は賢狼さまに軍配が上がるけれど。

八百比丘尼は数百年の人生の後に、
世をはかなんで消えたそうだけれど、
時を刻む長さが違うとはいえ、
人の世界に繋がって生きていた人間でさえそうなら、
ホロが生きてきた数百年はどういう時間だったんだろうと思う。
ほんのわずかな人や同類との繋がりさえも失って、
力を尽くせば尽くすほど、孤独を深めて。
村を出ることは、どれほどの決意だったのか。
ロレンスと出会った夜、
ホロはコロコロと表情を変えて、
うろたえるロレンスをからかったりしていたけれど、
それが過去を埋めるための虚勢だったのかもしれない。
そう考えると、この賢い神が愛おしくて仕方ない。

ホロは甘いモノが好きなようで、
リンゴやらはちみつをかけたパンやらを、
上手そうにパクパク食べてますが、
気になったのは、虫歯にならないのかということ。
神に対してあまりに失礼なそんなことをつい思ってしまうのは、
喜びと期待にわさわさ揺れるしっぽや、
フードの下でピクリと動く耳が、
どうも犬っころに見えて仕方ないからなんでしょう。
今の外見に関して、ホロに選択肢があるのかどうかは分かりませんが
もし意図的に、少女の姿を選んでいるのなら、
その耳としっぽとの合わせ技は、
見事という他ないな、とか妙な感心をしてしまった。
ロレンスでなくても、オスならクラっときてしまう。
やはり神さまは侮れない。

長いシリーズなので、
ホロが北の森に帰るまで、
ゆっくり後を追っていくことにします。

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