2017年09月 / 08月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫10月

2010.06.28 (Mon)

ヴィンランド・サガ 9巻


ヴィンランド・サガ9
(2010/6/23)
幸村誠

忘れたわけじゃない。
夢の中で、今も戦っている。
あがいている。

でも、夢から覚めれば、
そこには何もない。
ただ、生きているから、生き続ける。

人の代わりに森を相手にしながら。


【More・・・】

どうやら本格的に、
トルフィンは手に持つものを代えた模様。
人を殺すためのナイフから、
森を拓くための斧に。
なんとも無気力な目をして、
奴隷の身分への反発も何もなく、
ただただ麦を刈り、森を拓き、死に臨む。
ただ一人への復讐のためだけに、
何の恨みもない人を殺して、
略奪や非情を許容して生きていた頃よりは、
あるいは平穏なのかもしれないけれど、
やはりどうにももどかしくなってしまう。
お前そんなじゃなかっただろ!とか、
森拓いてるヒマあるなら、
国に帰って姉ちゃんと母ちゃん安心させてやれ!とか。
今は何を言っても届かないだろうけれど。

あまりに別人極まりないので、
もしかしたら記憶をなくしてるんじゃないかとも思いましたが、
農場の「客人」たちに戯れで殺されかけたとき、
一瞬ですが、戦場にいた頃に戻ったので、
アシェラッドのことや、過去を忘れたわけではないらしい。
本気の殺意を向けられたとき、
意思や気力とは関係なく反応して、
生きることを選ぶ体が、
それをできる体が、なんだか羨ましい。
「いいことなんか一つもなかった」とか、
死を突き付けられても、抗いもしないトルフィンは、
キツネでなくてもイライラする。
トルフィンには、生きることを望む体と、
それを自力で達成できるだけの力があるくせに、
易々と生を放棄しようとする。
「死」の商品価値なんてものは認めたくないけれど、
キツネが言わんとしていることは、分かる。
働いてはいても、トルフィンは甘ったれていると思う。

蛇に喝を入れられて、多少はトルフィンも覚醒したようです。
ボッサボサだった髪をまとめたりして。
とはいえ、エイナルのやる気や、
何かと心遣いをしてくれる人たちに優しさには、
まだついていけていないように見える。
それをエイナルは「よくされることに慣れていない」とか、
結構善意の解釈をしているけれど、
それは多少あるにしても、それ以上に、
この男はまだ閉じたまんまなんだと思う。
思えば活き活きしていたヴァイキングの頃、
まだまだヒゲも生えない少年だった頃から、
復讐という一点を見据える形で、
トルフィンは自分の世界を閉じていた気がする。
かろうじてアシェラッドやトルケルなんかの、
べらぼうにでかい男たちが、引っ張り出していたけれど。
そして今はそれを失って、トルフィンの世界は閉じた。
外を見ることもせず、内を見つめることもせず、
ただ生きているから、生きている。
誰かがこの男を叱り飛ばしてやれればいいのに。

そんな主人公はまあ置いておいて、
あの王子さまは、見事に王になっておいでのようです。
こっちもこっちで、なんだか別人。
トルフィンを見てもよく分からないけれど、
少なくともあれから四年くらいは経ってるらしい。
ということはに21才とかその辺か。
そりゃトルケルなんかにしたら、
まだまだ若造だし、王としてのあの姿勢も、
多分どこか無理をしている部分もあるだろうけど、
あの頃ぶっちぎりで大人に近かったトルフィンよりも、
いまではクヌートの方が先を行っていると思う。
少なくともこの人は、
アシェラッドがしたこと、そしてその死を、
しっかりと受け止めて、理解して、自分の肥やしにしている。
結果的には果たせなかった自分の復讐と、
最期のときのアシェラッドを、
多分まだ消化しきれていない主人公とは大違い。
身分以上に、二人は隔たってしまった気がする。

そういえば、
トールズの形見でもある、あのナイフ。
一体今はどうなっているんでしょう。
奴隷の身分で所持できるとも思えないけれど。
復活したトルフィンが取りに戻るまで、
クヌートが預かっている、とかだったら熱いなあ。

スポンサーサイト

テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


08:44  |  幸村誠  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/186-268b7d13

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |