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2010.08.12 (Thu)

もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ


もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ
(2010/5/11)
高橋由太

異形の力を遣うなら、
それ相応のものを差しださねばならない。
命か友か、あるいは体の一部か。
まさか高級油揚げだけ、
では済まないはず。

周吉が差し出しているのは、一体何なのだろう。


【More・・・】

使役するされるという関係は、
契約の一種だろうと思う。
お互いに何かを出し合って、
利を成し合うのが契約のはずで、
それが一方的な場合は、
搾取、もしくは隷属と呼ぶ。
周吉とオサキのコンビは、
オサキがオサキという魔物である以上、
使役の関係だろうとは思うんですが、
彼らの間に交わされているものは、
一体何なのか、結局分からなかった。
まさか油揚げだけではないでしょう。
それが愛や情ならば、
オサキはもはやオサキではないような気がした。

異なる生を歩む者同士のコンビ。
あとがきでも述べられているように、
オサキと周吉のような形は珍しくない。
長く人の傍にいたせいで、
どこかズレながらも人間臭いオサキは、
確かに周吉の力になっているし、
周吉も油揚げを与えたりしながら、
遣う者と遣われる者の関係を維持しているようにも見える。
ただ、周吉が森をさ迷っていたときの話を読むと、
その関係性はもはや形だけのものなのだなと思う。
周吉の人としての立場のためか、
オサキの魔物としてもプライドか、
何にしろ、その程度のものだけのために、
彼らは関係を維持しているように思う。
人間臭い魔物であるオサキと、
人の在り方をやや逸脱している周吉。
異なる者同士でありながら、彼らの生は近い。

一人と一匹が巻き込まれた事件は、
起きたこととその顛末から考えると、
おそらく大した話ではない。
なのに、事件の本筋ではない部分で、
死人の数が多すぎるようで気になった。
まあ、本筋ならいいって話でもないんですが、
それにしても死に過ぎていると思う。
襲ってきたから返り討ちにしただけには違いないし、
無差別に殺しているわけでもないけれど、
蜘蛛之介の登場シーンなんかは、
この老人の強さをアピールするためだけに、
バッタバッタと殺しているようで、
なんだか気持ちが悪かった。
周吉にしても、思考が殺しに近すぎる。
過去やオサキモチという特性を考慮しても、
青年の思考は飛躍は怖い。オサキの気持ちがよく分かる。

周吉の過去の詳しい話は続刊を待つことにして、
今回で新市このことには触れられないなら、
消化不良も甚だしいんですが、
まさかそんなことはないですよね…。
もしそうなら、新市があんまり哀れなんですが。
彼が何をしたにしろ、
故郷を鬼に追われて、知らない街で首をつって、
挙句の果てにちゃんと死ねもせずに腐り果てるなんて、
あんまりだと思う。小説内での扱い的にも。
周吉は引導を渡すことで、彼を楽にしてやったワケで、
それは確かに許しなんだろうけれど、
周吉の言動を基に考えると、
どうもこの男にとって人の命の位置が、
何と比しても特別でないが故の行為のようにも思える。
結局、まだこのオサキツカイが分からない。

言葉づかいが女っぽいのと、
オサキという名前の響きのせいで、
ときどき周吉がどこぞの商売女を、
懐に隠している気がしてしまいます。
いっそそういう話だと思っても面白いかもしれない…。

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Comment

●はじめまして

オサキシリーズの愛読者です。恐らくオサキは周吉の一族の血筋のモノに仕える使者なのかなと思います。いわゆる血筋上での契約なのかなと…。恐らくですが契約内容は『命』なのかなと思います
はてな |  2011年12月04日(日) 14:52 |  URL |  【コメント編集】

●Re: はじめまして

コメントありがとうございます。
なるほど、オサキが周吉本人ではなくその血に仕えているなら、一見不均衡に見える関係も頷けますね。
オサキへの報酬は周吉の死に際して支払われる、ということなのかも。
続刊のシリーズは未読ですので、また読もうと思います。ご指摘ありがとうございました。
あこん |  2011年12月04日(日) 19:45 |  URL |  【コメント編集】

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