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2010.09.05 (Sun)

妖怪アパートの幽雅な日常4


妖怪アパートの幽雅な日常4
(2010/6/15)
香月日輪

少年の日常は、
なかなかにハード。
修行にバイト、
たまに挫折と大きな成長。

そんな夏の先にある季節が楽しみになる。


【More・・・】

高校生が夏にすること、といえば、
部活バイト課題ときどき恋。
全部をひとくくりにしてしまうなら、
それは「成長」なんだと思う。
夏に限ったことではないけれど、
学校を離れてする体験は、
若者を確実に大きくする。
その意味で、夕士の夏休みは、
朝から晩までみっちり「成長」づくし。
朝夕に言葉通りの修行をこなし、
そうでなければ運送屋で働く。
その合間に世界を異にする人々と語らって、
ぐんぐん自分の世界を広げていく。
なんて健全なんだろう。

前回は校内での幽霊騒ぎがあったり、
魔に魅入られた先生との対決があったりしたけれど、
今回は基本的に何も起こらない。
アパートの住人たちは相変わらずだし、
夕士も長谷もそれぞれの夏休みを全力疾走している。
すっかり忘れていましたが、
そういえばこれは「日常」の話だったわけなので、
この形は正しいのかもしれません。
唐突に敵が現れたり、恋愛が発生したり、
無理にマンガ的なイベントを発生させなくても、
こうして一人の少年が成長していく日常だけで、
十二分に面白いことが分かった。
まあ、この静けさは次回への溜めという可能性もあるけれど。
高校生で魔道士で、県職員志望。
そんなアンバランスさをもっていても、
夕士の日常が「普通」の範囲を出ないことが嬉しかった。

何かと夕士を見守ってくれる、アパート大人組。
その中でも一つ抜けた雰囲気の龍さんが、
夕士がもつことになった魔の力を、
「ハンデ」として見ていることにハッとした。
それがしょぼいものであっても、
魔道書を操るなんて、特別に違いないのだけれど、
少年少女のための物語の主人公なんだから、と
それぐらいの特別さはむしろ普通のように思っていた。
でも、作中の人物たる龍さんは、
「特別」であることは大変なことだと、
ちゃんと語ってくれている。
夕士の力をスゴイ偉いともてはやさずに、
無言で覚悟を問い、その上で力を貸す。
こういう人が本当の大人なんだろうと、
自分を恥じながら思った。

アパートの面々は入れ替わり立ち替わりしながらも、
基本的には時間を無視した日常を送っていて、
なんだかこの人(?)たちは、
永遠にこのままなんじゃないかと思っていた。
けれど今回、クリがより子供らしくなって、
確かに生身の人間と同じように、
互いに影響しあいながら、
彼らも変わっていくんだと思った。
大人であることや、人でないことは、
変化と成長に大きな影響は与えないらしい。
クリの変化は、年を取らないようにさえ見える面々も、
いつかは年を取っていなくなることを、
確かに指し示している。
全く、日常はこれだから愛おしい。

夕士が嘆いている通り、
ますますパパママ化する長谷と夕士。
クリが成仏するときは、人騒動だろうなあ。

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