2017年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

2009.05.12 (Tue)

華氏451度


華氏451度
(1964)
レイ・ブラッドベリ

華氏451度.
その温度の下で
本は自ら炎をまとうという。

それは、思考の滅びる温度。

【More・・・】

本を捨て、本を焼き尽くす人々は
本をくだらないと思っているわけではないのだと思った。
そう思っていると、思わされているだけで
彼らは、本を、思考することを恐れている。
戦争が迫っているというのに、それでも思考しない。
ひたすら映像を眺め、全てにスピードを求め、容姿で政治家を選ぶ。
身につまされる話でした。

詩を朗読しようとするモンターグを
女たちが馬鹿にする場面がありますが
かつて本を嫌って、読む者を見下していた自分を見るようで
ひりひりと痛かった。
それでも自分もモンターグのように、ある瞬間本に憑かれた。
本を記憶し、保存する老人たちは
その瞬間が世間全体にも訪れることを信じて、待っている。
いわば活字にとっての最後の希望であるはずの彼らなのに
ブラッドベリが、瞳の中に使命の炎がない、と書いてくれたことに
なんだかほっとした。

もしも彼らが使命に燃えて、本を焼く人々を貶める言葉を吐いたなら
それは、映像とラジオを操って、市民を地ならしする者たちと変わらないと思う。
一方は活字と思索を尊び、一方は楽しさと平穏を尊ぶ。
ただそれだけの違いしかない。
だから、中盤のモンターグにはイライラした。
本を捨て、映像に飲まれた人々の側にいたくせに
またたやすく映像を捨て、本に飲まれた上に
かつて自分がいた場所に留まる人間に腹を立て、彼らを恐れる。
それは過去の自分に対する反省と悔恨のようにも見えるけれど
自分勝手だとも思う。
本に少し触れただけで、手のひらを返したモンターグより
大量の言葉を内に持ちながら、本を焼き続けるビーティの方が
まだマシな気がした。

とはいえ、そう簡単に焼かれても困るわけですが。
老人たちのように、本全部を記憶をするなんてできないので
現物がないとどうしようもない…。
「一度読んだものは、かならず思い出す方法」、教えて欲しいです。


スポンサーサイト

テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


10:48  |  翻訳もの  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/21-e90dc51f

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |