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2010.09.27 (Mon)

姉飼


姉飼
(2006/11)
遠藤徹

「姉」には禁忌が詰まっている。
人の形をしていること。
虐げるために買う・飼うこと。
その依存性の強さ。
手を出せば、当然堕ちるばかり。

魅入られた者にとっては、
そんな禁忌など意味を成さないのも、
おそらく世の常。

縁日では、子供の手をちゃんと引きましょう。

【More・・・】

このタイトルと表紙からして、怖い、
というか多分嫌なものが描かれてるのは、
考えるまでもないんですが、
それでも手にとってしまう辺りが、
怪談やら怪奇もの好きの業なのか…。
ホラー小説大賞の受賞作、というと、
以前に「ぼっけえ、きょうてえ」も読んでますが、
多分雰囲気から察するに、
この「姉飼」は怖いというよりおぞましい。
ぞっと、というより、ざわっとする。
おそらく嫌な気持ちになる。
結果、予想通りそうなりました。
まあ思ったほどじゃないので、ホッとした一方、
それはホラーものとしてどうなんだと思ったり。

受賞作の「姉飼」の他に
「キューブ・ガールズ」「ジャングル・ジム」
それから「妹の島」の三篇が収録されていて、
それぞれに違った味付けで、
色々できる人なんだなあと勝手に審査員気分に。
内容としては「姉飼」が一番激しいんですが、
意外とさらっと読めてしまって、
あれ?と拍子抜けした感もあったものの、
続く「キューブ・ガールズ」にはやられました。
若い女の子の一人称で軽く語られているのに、
ラストにかけての恐怖感・嫌悪感は、
四篇の中でダントツだった気がします。
まあ、公衆「よくじょう」だの、お「欲望」の通りだの、
ちまちまと笑わせてきていただけに、
落とし所の気分悪いこと甚だしい。全く、二重丸だなあ。

「姉飼」は、要素としては気味悪いものだらけで、
それはそれでお腹いっぱいになったんですが、
話としては予想の割に薄味な感じで、
オチに辿り着いても「え?」となってしまいました。
ただ、「姉」という存在は、
これでもかってくらいに禁忌の匂いがして、
よくこんなものを思いつくもんだと妙に感心したり。
好みから言えば、その死に様も凄まじくあって欲しかったけれど。
何の好みだとかまあ気にしない。
それから姉飼いである「ぼく」以上に気持ち悪かったのが、
町田というまともなようでかなりな刑事さん。
彼がどうしてそんなことになったのか、
詳しいことは全く語られませんが、
とにかく「ぼく」と町田の電話の内容がたまらなく気持ち悪く、
「姉」の存在なんか自然だと思えてしまうくらい。
まあ、実際「姉」は野生動物っぽいんですが。
レッドリストに載っててもおかしくない。

内容的にはほとんど繋がりはないんですが
「妹の島」には、小松左京の短編を思い出しました。
話の舞台は日本とはいえ、
南の島、というもののもつエネルギーには、
いつも圧倒されるものがあって、
それが容易に恐怖に転換されてしまうのは、
北国の生まれだからなのか何なのか…。
たちこめる果実の匂いや、大きな虫たち、
ぎらつく太陽とその下の人々。
なんだかそれだけで竦んでしまう。
まあ、「妹の島」に関して言えば、
エネルギーの裏に呪いと死が見え隠れするために、
描写以上に嫌悪感が募るんでしょうが。
「姉」の生き餌になるのも恐ろしいですが、
この島の兄弟たちのような死に様も絶対御免被る。
人の嗜好に文句をつけるわけではないけれど、
吾朗の「宇宙」はある種の薬よりダメ絶対、とか思った。

完全にオーダーメイドで、
しかも持続時間が結構なものなのに、
「キューブ・ガールズ」の低価格には吐き気がした。
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