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2009.05.14 (Thu)

本当の戦争の話をしよう


本当の戦争の話をしよう
(1990/10)
ティム・オブライエン

これはフィクションだ。
けれど「本当の」話だ。

彼はそう言って「本当の戦争の話」をする。

【More・・・】

「本当の戦争の話」をしようとするとき
実際に起こったこと、もしくは起こったように見えたことを話す必要はない、
むしろそれは「本当の戦争の話」ではない、
というようなことをオブライエンさんは書いている。
見事に混乱した。
脚色が本当でない、ならまだ分かるけれど、
実際に起こったことを語って、それが「本当」でないとなると、
一体どうすれば「本当」を語れるのだろう。
そう言っておいて、「本当」を冠する本の中で何を語るのか。
一種の疑心をもって、読み進めました。

オブライエンさんが描いたもの。
戦闘の描写そのものはではなく、その直前直後、そして戦前戦後。
「ティム」という名の兵士が人を殺したり、
あるいは彼の中隊の仲間が死ぬこともある。
雨が降り、ひどい臭いの泥があふれ、闇が動く。
その中で「ティム」たちは戦争をしている。
でも、描かれていることは実際に起こったこととは違う、らしい。
差し替えの範囲を超えて、全くの創作だったりもする。
そのことを合間に挟んだ短い話の中で、「作家」は認める。
その上で繰り返す、これは「本当の戦争の話」だ、と。

やっぱり分からない。
分からないけれど、そんなことはどうでもいい気もする。
「本当」か本当じゃないかなんて、多分重要じゃない。
要はここに描かれている戦争と人をどう感じられるか。
そういう自分の側の問題なんだと思う。
なんだか読書の原点に帰ってしまった気もしますが
自分にとって実感の外にあるものに触れることが
読書の醍醐味の一つだとも思うので
今回はその代表格だったという話なんでしょう。
戦争は自分にとって実感のはるか外、それが露呈したと。

じゃあ、と言って、
「本当」を冠する話を読めばそれが実感になるのか。
そんな訳ない。なったなんて思ってはいけない。
でも、少なくとも
「兵士たちの荷物」を読んで、
彼らが背負っていた物資・その他を知った。
「レイニー河で」を読んで、
「カナダ」に複雑な意味が張り付いた時期があったことを知った。
「イン・ザ・フィールド」を読んで、
泥に飲まれるということ、それで死ぬことがあることを知った。

オブライエンさんが感じたことを感じることは多分できなかったけれど、
彼の話からいくつかのことを知って、それから何かしらを思った。
読書をしたんだなと思う。
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