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2010.10.31 (Sun)

世界平和は一家団欒のあとに


世界平和は一家団欒のあとに
(2007/2)
橋本和也

行ってきますを言おう。
学校へ行くときも、
ちょっくら銀河系を出るときも。

ただいまを言おう。
嫌なことがあったときも、
世界の危機を救ったあとも。

【More・・・】

みんなと一緒でありたい、と
特別でありたい、という二つの願いは
多分何の矛盾もなく誰の中にもある、
あるいはかつてあった想いだと思う。
身近な集団から外れるのが怖くて、
同時に世界を救うようなヒーローか、
でなければ滅亡の化身にも憧れる。
その肥大化が中二病とか呼ばれたり。
そんな風に考えると、
星弓家は全員が地でその二つを生きている。
悪を滅ぼし世界を救いながら、
ただの学生・社会人の生活を全うし、
しかも家族を愛する普通の人であり続ける。
バカバカしくなるくらいの真剣さと能天気さで、
彼らは今日も世界を救う。
あー楽しい。

両親と六人の兄弟は、
日常的に世界を救っているけれど、
別に○○戦隊的に徒党を組んでるわけじゃない。
学校に通ったり、仕事をしたり、
そういうなんのことはない日常の傍らで、
ほとんど選択肢なく世界に危機に巻き込まれ、
それを救う力をもっているために、成り行き上仕方なく、
悪を滅ぼしたり、ヒロインを助けたりするだけ。
家族の誰それが昨日帰らなかったなら、
「あーまたやってんだな」と思って、
怪我しなきゃいいけど、と一瞬心配するくらい。
要請がない限り積極的に協力もしない。
その距離感が、あー家族だなあと思う。
世界を救おう学校サボろうが、
家族一人一人にはそれぞれの事情と生活があるから、
踏み込み過ぎず、無視もせず、
明日一緒に朝ごはん食べられたらいい、くらいに思う。
全くもって気持ちが良い。

兄弟一人一人の能力はどうやら違うらしく、
しかも力の大きさも性質も万能じゃない。
最強の姉・七美でさえ、
キャノンで焦がされたり色々しくじるのに、
スピードと殺傷能力抜群の軋人なんか、
それ以外は普通の人間なので割と簡単に死にかける。
救急班的に回復能力者の妹がいるけど。
星弓家に世界救済の片棒を担がせているらしい「神」的何かは、
軋奈のことにしても美智乃のことにしても、
考えが中途半端というか、
甘いのかそれとも底意地が悪いのか、
身勝手もほどほどにしろよと言ってやりたい。
世界の危機を救うヒーローには、
常に命の危険がつきまとうワケで、
今は一線を退いたっぽい両親の心配は半端じゃないと思う。
しかもこれだけのことをやらされて、
世界にとって「害」になったなら、
いきなり退場させられる、家族の手を使ってでも。
星弓家の面々はもっと怒っていいと思う。
まあ、そうする暇なく危機に陥るから困ったものだけど。

どんな家族もいつまでもそのままではいられないし、
いつかは欠けたり解散したりする。
でも、星弓家が押しつけられたそれはあんまりな代物で、
家族一人一人の立場で考えると、
ヒーローになるなんて碌なものじゃない気がする。
双子の妹を手に懸けてしまった軋人の苦しみ、
弟が妹を殺すのを傍観するしかできなかった姉二人の諦観、
姉と兄の決断の前で無力だった弟と妹、
死を選んだ娘と娘を殺した息子を救えない両親の痛み。
家族が崩壊してもおかしくないほどの傷が、
それぞれの胸の中に収まっている。
時が経っても、それがときどき家族を軋ませて、
弟が兄の腕を折ったり、姉がふいに泣いたり、
妹が世界を諦めたりするけれど、
それでも上の子は下の子を守ろうとする、世界に優先して。
下の子は自分にできることの全部を、
兄や姉、家族のためにやりたいと思う。
こっ恥ずかしいくらいの言葉とやり方で、
互いへの愛を表明する彼らが羨ましくなった。
さすがは世界を救う家族、スケールが違う。

まだ兄弟全員の肩書の由来が明かされてないし、
元・勇者のお父さんに至っては登場してないので、
続きをさくさく追うことにします。

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