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2010.11.25 (Thu)

炎の蜃気楼32 耀変黙示録Ⅲ 八咫の章


炎の蜃気楼32 耀変黙示録Ⅲ 八咫の章
(2001/4/27)
桑原水菜

理不尽でない死など、
おそらくは存在しない。
生は奪われてばかりだろう。

ただ、だからこそせめて、
死以外の何も怨まずに逝けたなら、
多少はマシかもしれない。

【More・・・】

世界に六十数億の人間がいて、
その十の何百乗くらいの生物がいて、
数え始めると目が眩むけれど、
次々に怨みの声を上げ始める死者を見ていると、
かつて死んだモノの数の方が、
今生きているモノよりもはるかに多いことを、
今さらながらぞっとしながら思った。
呪われた場所だの、
いわくつきの何たらだの、
そう考えるとちゃんちゃら可笑しい。
多分何かの死に場所でない場所などない。
観念的な話ではなく実質的に、
生者は死者の上に生きているんでしょう。
国が歩んできた分だけの怨みの声と、
現代人の罵倒の声の両方に阻まれながら、
高耶の進む道はますます厳しい。

耀変黙示録に入ってからの、
何を成すために何をすべきなのか、
よく分からないままに、
やみくもに混乱している感じが、
布都御霊のことや那智の者たちの過去が見えてきて、
やっと方向性がはっきりしてきた気がします。
とりあえず御霊は渡してはいけないらしい。
それから礼は超重要人物で、
石上神宮に収められた物を使えば、
死者たちの悲願が叶う可能性がある。
今回は神々もさることながら、
神器や御神体、神社の名前が盛り沢山なので、
兵頭の頭に浮かんだ「?」の気持ちがよく分かった。
「布都御霊」くらいならまだしも、
「にぎはやのみこと」なんて読めません…。
やっと「建御雷命」をそのまま読めるようになったのに。
毎度毎度、国人たちの漢字の強さには舌を巻く。

ロック歌手の魔王はあまり登場しないものの、
同等くらいに怖い人がとうとう動き出して、
ただでさえ四面楚歌な状況なのに、
だんだん本当に高耶が可哀そうになってきました。
まあ、譲には高耶を害そうなんて気は、
これっぽっちもないんだろうけれど、
言動だけ見てるとストーカーみたいだなあ。
悪意しかない魔王よりも、
もしかしたら好意で全部を薙ぎ払う譲の方が危ないかも。
とそこまで考えてみて、
高耶のためなら千里の道もなんのその、
というか世界全部敵に回しますが何か的な人が、
もう一人そばにいましたね、そういえば。
元祖の男は今回高耶に八つ当たられるわ、
弥勒パワーで吹っ飛ばされるわ、
なんだか散々な感じでしたが、
多分性懲りもなくまた追うんだろうなぁ、彼を。
…元祖を応援しています。

怨霊相手にドンパチやったり、
霊が肉体が精神がどうのと言ったり、
そういうことを中心に見ていて、
なんだか忘れがちだったんですが、
当たり前ながらこの日本にも外国があって、
戦国よりも戦争の時代の方が近い。
兼光の過去の話は短いけれど、
三本の手を持つ男が、
そんな日本や世界と共に歩んできた人生の中の、
痛みや諦めや喜びが凝縮されているようで、
ひどく悲しくなった。
生き延びて、当たり前の幸せを掴んで、
でも今は終わらせたはずの復讐の中にいる。
もう人殺しになってしまった。
多分彼もあの魔王辺りの思惑の被害者なんだろうと、
そう思うと余計兼光が哀れでならなかった。

千秋はもう換生しなさそうで少し寂しいけれど、
それはそれでらしいなあとか思った。
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