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2010.12.01 (Wed)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ


ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ
(2001/11)
滝本竜彦

守るため勝つため、
生き延びるため。
色々な理由を胸に収めて、
人は戦う道を選ぶ。
敵を設定する。

逃げるため、なんてのが、
理由になってしまうときも、
あるいはあるのかもしれない。


【More・・・】

子供がヒーローに憧れるのは、
その大きな力と、英雄性に理由があると思う。
ヒーローの英雄性なんて、
意味が重複しているけれど。
大人になって、そういう憧れが薄れても、
ヒーローという言葉には魅力がある。
キツい現実から逃げるために、
その役にすがりつく二人を見ていて、
大人が欲しがっているのは、
ヒーローそのものというよりも、
「悪い」敵がいて、
分かりやすい正義を掲げられる、
そういう立場と状況なのかもしれないと思った。
そんな邪な動機では、
正義の味方に就任するのは難しいんでしょうが。

セーラー服の美少女と、
凶悪な武器を振り回す化け物のような男が、
雪の降る町で戦っている。
そんな場面に遭遇したなら、
選択肢はそう多くないと思う。
1、逃げる
2、通報する
3、ヒーローになる、くらいか。
「凶悪な武器」がナイフくらいなら、
3も選べそうだけれど、
チェーンソーはちょいと凶悪過ぎる。
あんな掠っただけで肉が吹き飛ぶようなもの、
丸腰で相手にするのは一般人には荷が重い。
1~3の選択肢を全部しくじったけれど、
一応は戦う姿勢を見せたわけで。
絵理ちゃんにしたら迷惑千万だったにしても、
山本はよくやった方だと思う。

なんだかんだでヒーロー的ポジションを得て、
二人が新たに始めた日常は、
チェーンソー男なんていう非日常と、
学校や進路の平凡さが、
妙な具合で配合されている。
山本がそんな毎日を望んだ背後には、
何やら暗い感情があって、
この妙に明るく達観した男が、
実際かなり危ない所にいるのが時々透けるようで、
なんだか少し怖かった。
絵理ちゃんが逃げ出したかったものは、
それに比べるとなんとも真っ当で、
ラストにかけての展開は、
なんでこんな男がいいかなとか思った。
まあ、山本が目をそむけていたものも、
根本のところで絵理ちゃんと同じなんだろうけれど。

チェーンソー男が結局何だったのか、や、
能登が死なねばならなかった理由も、
恐らく山本が逃げ回るモノと同じ根を持っていて、
その姿形を言葉にしにくい辺りに、
逃げ回らずにはいられない理由があるのかも。
とか、なんだか山本のことを言えないくらい、
終盤にかけてぐるぐると考えた。
ただそれでも、渡辺のような方法で、
割り切れないものを飲み込む道はあるし、
親は遠くにいるとしても、
背を押そうとしてくれる大人も近くにいる。
なのに逃げる道に飛びつくのは、
やっぱり頂けないなあと思う。
幸運にも一人ではなく二人だったからこそ、
逃げ切ることはなかったんだとも思った。

敵が消えて、役目から解放されて、
残された二人が得たものを、
できれば能登にも、
生きて手にして欲しかったと思う。

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