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2009.05.23 (Sat)

フェティッシュ


フェティッシュ
(2005/10)
西澤保彦

正常でなくなることを
狂うと言うのなら
彼らはみな狂ってなどいないのかもしれない。

ただ少しばかり
自分に正直だったというそれだけで。

【More・・・】

失意の中にあった女たちばかりが被害者の連続殺人事件。
葬式や夜の公園にふいに現れる美しい少年。
どことも知れない密室で催される「透明人間クラブ」
それらを繋ぎ、追う刑事たち。
そんな構図の謎解きをする話として読んでみたところ、
どうにも座りが悪い。

謎というほどの謎がそもそもない上に
核心に迫ってみれば、そこはがらんどう。
そんな感じがして、
終わってみて「あれ?」と思ってしまいました。
たくさん人死にが出ていますが、
その多くが呆気なさすぎる気もして、
なんだか違和感。

そこで、これは読み方が間違っているのかと思いまして。

美しいもの、あるいは人
それに揺り動かされる人々の話として読んでみました。
そうすると今度はなんだか現実味がない。
変な話だけれど、彼らの動揺そのものは理解できる。
対象がなんであれ、囚われてしまえば、それまで。
そういうことは確かにあると思う。
でも、ここに描かれる少年の存在それ自体に違和感を持ってしまっては
彼に執心する人々の言動は滑稽にしか見えなかった。

触られると仮死状態になる。
それは、いい。
むしろそういう妙なものが出てくるような話は大好きです。
ただ、禁忌を犯してでも触れたくなるような美しさ、艶、妖しさ。
「くるみ」に人間味があり過ぎて、それをうまく想像できなかった。
たとえば「くるみ」が本当に心を凍てつかせて、人形のようだったなら、
人を惑わす美しさや完全性は容易に思い描けたかもしれないけれど、
「くるみ」は怯える、逃げる、罪悪感を持ち、人を殺したくないと願う。
とても真っ当に人間らしい。
人をあんな風にしてしまう程の危うい美しさは、自分の感覚では似つかわしくない。
だから、彼を欲して人まで殺す人々が理解できませんでした。

あ、でも、それぞれの人がそれぞれの嗜好を持ちながら
それでもなんとか真っ当に社会人としての生活を営んでいる感じが
なんだかかわいく感じられて、それは良かったです。
程度は別にして、だれもが彼らみたいなものを抱えているなら
それは少しばかり愛おしいことのような気がします。
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テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


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