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2009.05.26 (Tue)

白骨花図鑑


白骨花図鑑
(2005/9)
甘糟幸子

イワカガミ。
ゲンノショウコ。
キバナノヤマオダマキ。
イブキトラノオ。

…なんの呪文ですか。

【More・・・】

圧倒的に足りなかった…。
花についての知識や経験が。
口を閉ざす老女が思い描く、白骨を覆う植物の群れ。
肉感的だという、カズラの花が落ちる音。
犬が愛する、オシロイ花の香り。
そのどれもが自分の中にはない。
図鑑でさえ見たことがないから、香りはおろか形も分からない。
だからなのか、全体的に消化不良の感が。
なんだかモヤモヤした印象しか残らなかったです。

そんな中で唯一分かったのは
4つ目の短編「あの夏の花の赤」に出てきたカンナの花。
小さいころ嫌という程目にした花。
植える(というより埋める)作業が年中行事でもあったので、
花の質感まではっきり、ってなもんです。
カンナの背の高さと、鮮やかな赤が見下ろしてくる感じが
昔は怖かった覚えがありますが、
今見てもあまりかわいいという類の花ではない気がします。
カンナを描き、過去を追う男のおかげで
懐かしいけれど、あまり思い出したくなかった情景を垣間見ました。

というより、
花ってグロテスクだなと、読んで尚のこと思った。
小さな花ならまだしも、大きいのはむき出し感がおぞましいような。
人間になぞらえるからそういう風に見えるのかもしれませんが。
花と言うとどうしても女のイメージになるあたり、
自分の花に対する浅薄さを感じます…。

それとは別に、
ヒステリックな親や甘ったれな犬、増殖するアライグマに対する
語り手の意識に若干イラっとしました。
見聞きしたことから、推測し結論に至る過程が短すぎる気がして。
たった一つの事柄からスキャンダラスな「事実」へホップ・ステップ・ジャンプ。
まるで親戚が寄り集まったときや「井戸端」で聞くような話の回路。
「犬の矜持」ってなんでしょう。
自分としてはこの言葉が一番引っ掛かったのですが。
知らない人間に尻尾を振って餌をねだったからといって、
人間なんぞに軽蔑されなければいけない謂れは犬にはない気がします。
その上それを利用されて、結果死んだとあっては
ブルも浮かばれないだろうに…。

そんなこんなでぶすぶすくすぶったような読後感でしたが、
計画的に花に囲まれるのは御免としても
死んだら野ざらしにして欲しい、という気持ちにだけは
自分に通じるものを感じました。

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