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2011.02.04 (Fri)

妄想炸裂


妄想炸裂
(2001/6)
三浦しをん

豊かな心を育むために
親も教師も日々努力する。
優しさを、感受性を、思いやりを…!

そのどれもを望むなら、
肥やしをまいてよく腐らせるべきだ。
腐った分だけ土は豊かな森を築くだろう。

…他意はない。


【More・・・】

異世界を旅したり、
他人の人生を生きてみたり。
本に限らず創作物の魅力は、
そういうことを可能にする力が一つだと思う。
でも、旅に出たり他人になったりというのは、
結局頭の中で起こっていること、
つまり創作物は触媒でしかない。
同じものを読んでも同じ場所へ行かないのは、
個々人の頭の中にある土壌が異なるからで、
自分だけの物語をもてるという意味では、
それは素晴らしいことだと思うけれど、
つまるところ頭の中で展開する世界の豊かさが、
その人の心の豊かさに依っているなら、
想像の世界もなかなか世知辛い。
たった一つの言葉でたくましい想像の、
否、妄想の翼を広げられる三浦さんの土壌は、
かの黒色土並みの豊かさなのかもしれない。

勝手な感触では、近頃、本当にここ数年、
「妄想」という言葉がポジティブな意味を持ち始めた気がする。
大げさに言えば市民権を獲得したような。
ちょいと前までは「妄想」と言えば、
もっぱらやらしい方面の想像のことで、
妄想したなんて堂々と言えることじゃなかったはず。
まあ今だって胸張って言う人間は少ないでしょうが。
でも少なくとも「妄想しちまった」とか、
「まあ妄想だけど」とかいう風に、
割と軽い感じで日常的に使うようになっていると思う。
もしかしたら私の周囲だけかもしれないけれど。
何を隠そう妄想力ならちょっとしたものと自負してきたんですが、
日常的に妄想という言葉を耳にするようになって、
なんだ、みんなしてるんじゃないか、と
安心したような気分にもなってたんですが、
三浦さんの炸裂しまくりの妄想を読んで、
そんな小市民的安堵のみみっちさを思ったり。
パンダるって何ですか、パンダるって。

いくら土が豊かでも、
あらゆる植物が根を張れるなんてことはないので、
頭の中でも同じように思考の傾向、
得意分野みたいなものがあると思う。
盆栽に漫画に追っかけてるバンドに津軽三味線に…。
なんだろうこの自由さ、まだらさ。
いや無理を承知で分類しようとすれば、
中高年染みた趣味と文系女子的な衝動が同居してる感じで、
それほど突飛でもないんでしょうし、
そのどれも興味がある分野なので、
他人事とも思われないんですが、
それでもバンドを追っかけて福岡まで出向き、
津軽三味線のお稽古を始め、
自前の一丁まで購入して自宅で弾き鳴らし、
気がつけば数十冊単位で漫画を買っていたりする。
結局頭の中の土壌の肥やしは、現実なんだなと思う。

ところで途中「駅伝」についての妄想がありますが、
これを読みながらついニヤニヤしてしまいました。
これが01年であれが06年ですか…。
もちろん諸々の設定も大前提も異なるんですが、
名前なんかは割と一致していたりして、
小説家の頭の中を覗いた気分。
妄想が小説になったのか、
小説の素を元に自分で妄想したのか、
その辺は気にすることでもないので、
単純にニヤニヤするだけに留めておきますが。
にしても清い心でかの小説を読んだ人が、
この一節(特に注)を読んだら、
色々とショックを受けるんでなかろうか。
まあそこはそれ、「妄想」ですから。
お金もかからなければ誰のことも傷つけない、
そう考えると意外と妄想は本質的に善良なのかも。

豊かな土壌を作るのは、
落葉落枝と諸々の死骸の速やかな腐敗。
いや、頭の中のそれは有益性を考えると、
むしろ「発酵」と呼んだ方がいいか。
何にせよ、腐るのは悪いことじゃない。
とか言ってみる。

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