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2011.02.10 (Thu)

コダマの谷 王立大学騒乱劇


コダマの谷 王立大学騒乱劇
(2006/8/31)
入江亜季

学ぶことは、投資。
今すぐには役に立たなくても、
その知識は未来の自分を支えてくれる。

将来を質に入れて、
閉ざされた学び舎にいる彼らは、
期限つきの自由の中で、
人を、世界を、自分を見極める。

他の誰でもない自分のために。


【More・・・】

自分の食いぶちくらい稼がないうちは、
何を言おうがガキの言葉だ、と
昔昔断言されたことがありますが、
その意味で言えば、たとえ体は一丁前に大きくても
大学生なんて身分はガキそのもの。
もちろん自分で食って自分で学んでいるような、
見上げた学生諸君もいますが、
大部分は親に食わせて貰って、
親が稼いだお金で学ばせて貰っているのだから。
そういう認識で考えると、
王立大学での騒動の渦中にいる面々は、
もう大人と言って差し支えないのだなと思う。
彼らは自分の将来を差し出す形で、
コダマの谷に自分の居場所を作っている。
それはもしかしたらただお金を払うことよりも、
ずっと覚悟が要ることなのかもしれない。

副題は王立大学騒乱劇ですが、
実際のところ血なまぐさい陰謀や策略はほとんどなく、
ざっくり言うとライダーが諸々を精算する話、
あとプラスでアーサーとウーナのなれそめの話。
王座に座らねばならない時が迫っているアーサーだけでなく、
王妃という将来を突き付けられるウーナも、
そして王室からの奨学金で谷にいるライダーも、
まるで人質を取られているようだと思う。
アーサーは国へ、ウーナは家へ、
ライダーは王へ尽くすことを前提にして、
現在の限定的な自由を確保している。
それはつまり将来の自分を質に入れて、
今を手に入れることに他ならない。
そんな風に言うと随分悲壮感が漂いますが、
彼らは「レール」が引かれているだの何だのと、
喚き散らすようなガキではないのだと思う。
結局自分の人生は自分の選択なのだと、
多分彼らはちゃんと心得ている。
「平気だ」と言って瞑目するアーサーは格好いい。

群青学舎」で先に番外編を読んだんですが、
あれだけ読むとライダーがあまりにものぐさで、
マージが悪い男に心酔してるだけに見えるので、
宿屋の息子ももうちょい強気で行けばいいのに、とか
野暮なことを思ったもんです。
なのであの短編の過去にあたるこの長編で、
ライダーの世話を焼くかわいい子が、
あのマージにはなかなか結びつきませんでした。
そもそもこの二人にそんなに年齢差があるとは。
子供の成長には驚くしかない。
まあ子供らしい懸命さでライダーを想うマージも、
この面倒な男を御せるだけ大人になった彼女も、
同じくらい魅力的でメロメロにされたけれど。
ボッと赤面する顔もムッとすねる顔も、
そしてはっとするくらい大きな瞳で見上げてくるのも、
もうなんだかマージが可愛くて仕方ない。
ライダーが羨ましくなりました。

根なし草の旅の暮らしには憧れる。
食う分と今夜の宿の心配だけして、
気の向くままにあちこち旅して生きられたら、と思う。
でもそう思うのはおそらく旅そのものよりも、
何も持たず、身軽に生きることへの憧れで、
結局は捨てられない自分が嫌なだけなのだとも分かっている。
そういうちっさい己を知っているだけに、
「フクちゃん旅また旅」の親子のような旅は、
もう憧れを通り越して羨望のレベル。
特に、ちゃんと帰る家と大事なものを持ったまま、
ふらふらと息子を連れて世界を回るお父さんは、
困った人だけれど、格好いいと思う。
ライダーは半ば必要に迫れらる形で谷を出たし、
マージは自分からついて来たけれど、
単純に自分の意思と責任において生きられるというのは、
何も旅云々ではなくてもなかなか出来ることではない。
お父さんにしろライダーにしろ、
出ていくのも軽やかなら、帰って来るのも軽やかで、
そういう所が待つ人間の神経を逆なでするんですが、
こういう人たちは帰って来るだけマシなのかも。
またかと笑い飛ばせる人たちも十分に軽やかだ。

妃に溺れる王は愚帝と相場が決まっているけれど、
メロメロくらいなら悪くない。
だって確かにウーナの笑顔は「もう最高だ」し。
ユリウスには苦労して頂こう。

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テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


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