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2011.03.21 (Mon)

宿命


宿命
(1993/7/6)
東野圭吾

1/6の確率で、
サイコロは1の目を出す。
ではもう一度1が出る確率は?
1/36も1/6も正解。

人が岐路で宿命を感じるとき、
多分同じことが起きている。

【More・・・】

一生の友情を言外に誓い合えるような、
そんな友を一人でも得るのは難しい。
それが愛であっても同じことですが、
それでも不可能ではないのは、
おそらくそれらは一方的でも成立するからでしょう。
愛も友情も抱くだけならタダで、
勘違いしたもん勝ちみたいなところがあると思う。
そう考えたとき最も成立するのが難しいのは、
もしかしたらライバル関係かもしれない。
一方的なライバル意識なんて、
そんなものは、ただの負け惜しみか優越感。
負けることもあれば勝つこともあって、
そうして拮抗しながら認め合う。
それがライバルだとするなら、
晃彦と勇作はそういう関係ではなかったんだろうと思う。
彼らの反目は結局それぞれの劣等感に依っていて、
なんだか徹頭徹尾、勝手にしろ、という気分だった。

代替わりしたばかりの会社社長が殺されて、
さあ、犯人は誰か、という話としては、
仕掛けといい意外性といい、
感心させられるばかりだった。
何かとみんな軽んじているけれど、
弘昌の考えたトリックだって捨てたもんじゃない。
結論的には三組の犯人が同時に同じ人間を殺そうとして、
一組が成功し、一組が手助けして、
で弘昌組が混乱を招いたってことなので、
その点では余計なことを、という感もある。
でもたとえば他の二組が行動せずに、
ある一組だけが自分の計画を実行していたなら、
多分どの一組が欠けても、
正清は死ななかったんじゃないかと思う。
そうすると実行した人物はいわずもがな、
他の二組もある程度罪を問われるべきな気がする。
何の因縁があるにしろ、逃していいのか和倉刑事…。

殺人事件の謎解きと並行する形で、
晃彦と勇作の因縁、瓜生とレンガ病院の関係、
過去に遡って、美佐子の父親の秘密まで、
書きだしてみると盛りだくさんな感じなんですが、
その辺りの解明が終盤に詰め込まれてるからか、
割とああそうなんだで読んでしまいました。
早苗・晃彦・勇作の因縁は確かに哀れだったけれども、
美佐子のお父さんが恥じているように、
お金と引き換えに自分を売ったのは早苗さん自身で、
瓜生家の人々が代を跨いで罪悪感を抱くのはどうかと思うし、
それほど心を痛めるくらいなら、
そもそもそんな実験を実行できるのが分からない。
奇妙なめぐり合わせと言いながら、
そんな人たちを出会う可能性のある場所に置かなければ、
たとえば早苗さんを転院させるとかすれば、
勇作が早苗さんの死に傷つくことも、
晃彦と勇作が反目し合うこともなかった。
端から端まで人為だなあと思う。

関係者の中で一番事件の真相に関係ないのは、
容疑者の妻で刑事の元恋人の美佐子さん。
重要な立場なのは分かるけれど、
それにしても悉く何かと目撃する人だなあ。
彼女は何かに導かれるような幸運を「糸」と呼んでいて、
実際確かに背後で糸を引いている人間がいた訳だけれど、
就職はまだしも結婚の決断にまでその糸を感じて、
挙句、晃彦にも責任はあるにしろ、
夫婦関係に諦めを抱くのは、どうにも頂けなかった。
どんな手引きがあったにしろ、
糸が不気味なら断ればいいだけの話だし、
それでも婚姻届に署名した以上、
糸を引き合いに出してすれ違いを嘆くべきじゃないと思う。
それで元恋人に心情を吐露してすっきりしていては、
亜耶子さんのことも言えたもんじゃない。
まあ夫婦仲に関して全面的に責められるべきは、
自分の気持ちばかりで妻を慮らなかった晃彦だけれど。

勉学やスポーツ関係ならまだしも、
初恋の人に関して勝ち負けを想うようだから、
いつまでたっても勝てないんだと思うぞ、勇作。

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