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2011.05.02 (Mon)

コップクラフト


コップクラフト
(2009/11/18)
賀東招二

言葉は通じても、
意思はどこまでもすれ違う。
常識も理屈も正義も、
二人は何一つ共有していないから。

それでも、
己を賭して駆けるとき、
道連れくらいにはなる。

歩幅は大きい方が合わせましょう。


【More・・・】

世界共通語としての英語でさえ、
先生方の熱意むなしく、
十分に使いこなせていない自分からしたら、
言語の体系どころか、
世の理そのものが異なる世界なんて
理解する努力をすることさえ難しいと思う。
多分瞬間的に敵とみなしてしまう。
セマーニと地球の間にも争いはあったようだけれど、
たかだか十五年でここまでの関係を築くには、
並大抵じゃない努力があったんでしょう。
あるいは詳しく描かれないその争いが、
対立する気力を失わせるほどに酷かったのか。
どちらにしろマトバという男は、
ほんの数年前に命を奪い合った者たちを相手に、
平静に、常識的に仕事を出来ている方だと思う。
多少の粗さは多分性格の問題なので、
ティラナにはご容赦願おう。

妖精とか魔法的なものとか、
ファンタジックな要素も多分にあるけれど、
セマーニ世界は基本中世な感じなようで、
貴族間の権謀術数が渦巻いてたり、
誇りに生きる騎士サマがいたり、
異世界の割にはティラナの理屈は理解しやすい。
とはいえ中世の騎士と誘拐された妖精を追うなんて、
相手が同僚の仇でさえなければ、
マトバは断固拒否しただろうなと思う。
いや、実際積極的に拒否していたか。
ギリギリ言葉は通じるけれど、
言わんとするところはほとんど通じない、
その上結構高貴な御身分であるらしい、とくれば、
マトバでなくてもため息をつきたくなると思う。
せめてセマーニの言葉で喋ったときくらいに、
ティラナの言葉遣いが柔らかければ…、
尚のことマトバを苛つかせるだけかもしれない。

捜査の顛末と妖精の選択は、
ティラナのツインテールがかわいいとか、
オニール神父の商談が気になるとか、
その辺り以外どこもかしこもやるせなくて、
過去の傷をほじくられる形で裏切られたマトバも、
はるばるゲートを抜けて異世界へ来て、
剣を捨ててまでしても妖精を救えなかったティラナも、
なんだか傷だらけになってしまった気がする。
結果とマトバの職務を考えると、
サンテレサ市民を守ることが最優先のはずなので、
警官3名と妖精1人で全市民の安全を守ったのだから、
うまくいったと言えるのかもしれないけれど、
マトバもティラナもそれで良しとできるような、
そんな人間ではないように見える。
外見はどうあれ二人はいっぱしの大人なので、
自分の中の傷を無闇に人目にさらしたりはしないでしょう。
でもお互いの傷を知っている者同士なら、
傍にいて随分楽なのではないかと思う。
そういう形の信頼関係も悪くない。

どうやらティラナはこちらの世界に残るようで、
しかもマトバの家に住む気満々なようで、
これからは朝一緒に出勤したりするんだろうか。
正式に市警の一員になるということは、
制服なりスーツなりを着用するのが筋だろうけれど、
多分ティラナはそんなもの着ないんだろうな。
廃刀令後の侍やルール違反のレイヤーよろしく、
マトバに小言言われながら長物も持ち歩くだろうし、
マトバはティラナの潔癖さと喧嘩っ早さに、
ティラナはマトバの俗っぽさとお人好しさに、
お互いに呆れたり怒ったりしながら、
サンテレサ市の平和を守りつつ、
ときどき騒動の元凶になったりもするんでしょう。
などと想像を膨らませてしまうくらい、
このコンビを見ているのが楽しい。
硬派な刑事ドラマ的展開も良いけれど、
今度はマトバがあちら側へ行って、
ティラナに鼻で笑われてしまえばいいと思う。

フルメタを読み終わってないのに、
同じ作者の別シリーズに手を出す阿呆が一人。
後悔なんて、あるわけない。

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