2017年11月 / 10月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫12月

2011.05.07 (Sat)

化物語 上・下


化物語 上
(2006/11/1)
西尾維新

魅入られて、
失って変わって、
傷だらけになっても、
彼女たちは助けを求めない。
それができるほど、
自分を知らないわけではないから。

そんな覚悟など、
お人好しの前では無力だけれど。



【More・・・】

こちらに何の落ち度がなくても、
突然災いに見舞われることは多々ある。
事故や辻斬りや鳥のフンは、
何をしてもしなくても完璧には避けられない。
彼女たちと阿良々木くんが出会ったものは、
明らかにそれぞれの生活を侵食していて、
神だろうが悪魔だろうが、
どう考えても「良いもの」ではないと思う。
遭わないで済むならそれに越したことはない。
でも、忍野さんが容赦なく指摘する通り、
因果は自身から伸びていて、
自分の弱さなくして怪異はあり得ないことを、
誰よりも彼らは分かっているように見えた。
少なくとも、忍野さんに助けを求めることが、
少なからず欺瞞を含んでいることを、
おそらく彼女たちは指摘される前に感じている。
アロハなおっさんの前に立って、
自分の弱さを認める彼女たちはみな、凛々しい。

語り手である阿良々木くん自身の話は、
どうやら次巻以降のようなので、
忍ちゃんの話とか悪夢のGWの話とか、
端々によく分からないところがあるものの、
そんなことは全く気にならない勢いで、
憑かれた女の子たちの話に引き込まれた。
具体的に言うと、会話にやられた。
細かい部分はそれこそ勢いなので、
どこがどうとも切り取りにくいんですが、
概観すると、みんな仲良いなと思う。
察するに阿良々木くんは友達少ないみたいだし、
神原を除いて社交的でもなさそうなのに、
なんだろう、この上級者向けな会話のキャッチボール。
ありとあらゆる球を投げ返す阿良々木くんも凄いけれど、
素晴らしい速度で毒やボケをかぶせ、
あまつさえ阿良々木くんのミスまでカバーするとは。
この人たちどんだけ仲が良いんだ、と思う。

蟹・蝸牛・猿・蛇・猫と並べてみると、
なんとも禍々しい感じだけれど、
実際のところ第三者にまで被害が及ぶのは猫だけで、
それ以外は影響が怪異の因果の関係者に収まるので、
放っておけば放っておいたになるんだと思う。
まあそうすると阿良々木くんと千石は死ぬことになるけど。
でも旧知の仲である千石の場合は言わずもがな、
自分が死のうが死ぬまいが関係なく、
彼女たちに関わらずにはいられないのが、
阿良々木暦という人間なんだろうという気がする。
真宵のときに戦場ヶ原さんが言っていたように、
案内板の前で同じ小学生を二度見かけた程度で、
迷子と判断して見知らぬ子供に声をかけるなんて、
良識的にはするべきなのかもしれないけれど、
自分は二度が五度でもしないと思う。
忍野さんと忍ちゃんも含めて、
基本的にみんながみんな阿良々木くんラブなのも、
これだけ命張られたら仕方ない気もする。

ツンドラ乙女な戦場ヶ原さんや、
かみまみたな真宵も魅力的なんですが、
神原の破壊力たるや凄まじかった。
褒め殺しとか過多な感のある趣味もさることながら、
憎悪の対象である阿良々木くんの前で、
激しく苦しそうに、それでも言葉を濁さず、
自分の弱さと醜さをさらけだす潔さと、
それでもあふれ続ける根の深い負の感情、
幼心に「猿の手」を忌む基本的な清さ、
腕を切り落としてくれと言う覚悟、
なんだかもうたまらなくなった。
阿良々木くんが長いという戦場ヶ原さんが2年なら、
神原が猿の手と付き合ってきた期間はもっと長いし、
まだ完全に怪異から切り離されたわけでもない。
それでも心から阿良々木くんを尊敬し、
戦場ヶ原さんに構われるだけで嬉しそうに笑う彼女が、
怪異でなくなる日が早くくるといいと思う。

神原の部屋には、
足を踏み入れたくないような、
どっぷり入れたいような。

スポンサーサイト

テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


23:03  |  西尾維新  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/314-64e453bd

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |