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2011.05.23 (Mon)

フルメタル・パニック!8 燃えるワン・マン・フォース


フルメタル・パニック!8 燃えるワン・マン・フォース
(2006/1/20)
賀東招二

求めるものはただ一つ。
失うものはない。
かつて慣れていたように、
目的のためだけに戦えばいい。
自分にはそれができる腕があるのだから。

けれど少年は立ち止まる。
彼女の面影を確認するように。


【More・・・】

目的を見失わずにいるのは、
多分字面の陳腐さよりずっと難しい。
そこに行き着くまでの道のりが、
長ければ長いほど、
必要な行為が日常に近ければ近いほど、
遠い場所にある目的の輪郭はぼやけていく。
そしてぼやけた目的では、
努力をし続けるのは苦しいばかり。
宗介ほどのプロフェッショナルであっても、
目的にするのが唯一無二の存在でも、
どうやらそれは変わらないようで、
身に馴染み始めていた平和を、
自分からそぎ落として息を詰める姿は、
どこか無理をしているように見える。
本当はもう諦めたがっているのに、
目的とは別の感情に無理に頭を垂れているような。
そんな状態の宗介を見るのは、
奪われた直後の宗介を見るより辛かった。

宗介が一人で始めた戦いは、
その道のプロである彼自身が見定めたのだから、
多分確実にかなめに繋がっている。
実際ちゃんと目的の情報は得られたし、
おまけでミスリルのことまで分かったのだから、
手段は間違っていないんでしょう。
なのに宗介が自分の腕の問題以外のところで躓くのは、
あの日のかなめの諦めが、
宗介の底に根を張ってしまったからかもしれない。
ゲリラ上がりの傭兵である宗介は、
おそらく孤立無援の状態にだって慣れている。
目的のために誰かを置き去りにすることも、
経験がないわけじゃないと思う。
でも宗介はかなめの底なしのエネルギーと意思によって、
自身が考える以上に変わってしまっていて、
その起点たるかなめが折れてしまったことで、
かつての冷たさと信じ始めていた希望みたいなもの、
その両方を損なってしまったように見える。
飼い主を失った犬のよう、と言ってみても、
明るい気分にならないなあ…。

そんな中でかなめのような少女に出会って、
そして容赦なく失ってしまっては、
頭の中がぐちゃぐちゃになっても仕方ない。
宗介自身は反射神経のように計算し、
涙一つ流さず、冷静さを失うこともなく、
怒りの炎さえ消してしまえる自分に、
自嘲と絶望を感じているようだけれど、
サベージの耐久力に賭けるような形で、
ほとんど決死のような追撃を選ぶ辺り、
ナミの死が響いていないわけではないと思う。
封神演義」の太公望の言葉を借りるなら、
悲しみの形は人それぞれで、
かなめならどんな風に宗介を張り飛ばすだろう、とか
ついつい彼女のことを想ってしまうのだから、
宗介のことをとやかく言えない。
彼女がいないことがこんなに寂しいとは。

アマルガムの姿がおぼろげに見えてきて、
ミスリルのバックアップがあるならまだしも、
一人で立ち向かうには厄介すぎることが分かりました。
確たる頭がないのでは、
どこかを潰したところで意味がないでしょう。
ああでも宗介の目的はかなめなのだから、
別にアマルガム全部を潰す必要はないのか。
ミスリルの面々の仇討ちという面もあるけれど、
それを主眼に据えているなら、
クラマへの質問は別のもになっていたはずで、
色々と迷って自分に絶望しながらでも、
宗介の中には彼女しかいないんだなあと思う。
新しいASやらウィスパードの子供たちの繋がりやら、
まだまだ脅威や障害は多そうだけれど、
もうひと踏ん張りでもふた踏ん張りでも、
この男には頑張ってもらいましょう。
倒れている場合じゃないぞ、宗介。

やっと湿った長編に帰ってきたものの、
どうやら番外編(?)がまだあった模様。
またやっちまった…。
性懲りもなく戻ります。

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