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2011.07.02 (Sat)

フルメタル・パニック!9 つどうメイク・マイ・デイ


フルメタル・パニック!9 つどうメイク・マイ・デイ
(2007/3)
賀東招二

完膚なきまでに負けて、
武器も身体も、心さえも粉砕されて、
何もかも散り散りになってしまっても、
抗う意思と命さえ残っていれば、
何度でも次はある。

大義がもはやなくても、
だから彼らは再び集う。


【More・・・】

生きてさえいれば、なんて、
分かったようなことをを言えるのは、
死の間際まで行ったことのある人間だけで、
その点で宗介やミスリルの生き残りには、
生そのものに希望を見る資格があるのだと思う。
あるいは戦場を仕事場にしている人間は、
問題を将来に先送りにするような、
無根拠に未来がくることを信じるような、
そんな理屈は使わないのかもしれないけれど、
でも前回真実死にかけた宗介の中にあるのは、
つまりはそれだけであるように見える。
自分が生き延びてさえいれば、というより、
かなめがかなめのまま生きてさえいれば、
おそらくこの男はどんな苦境の中にあっても、
生き延びることを選べる。
それ一つを支えにして、戦える。
全く、妬かせてくれる。

まさか宗介が死ぬとは思ってはいませんでしたが、
それでも生き延びててほっとしました。
奇跡的に弾が急所を外れていたなんてことはなく、
宗介は臓器の一部を失って、
長い昏睡によって身体全体が衰弱して、
歩くこともままならない姿は、
主人公である都合が関与する余地がほとんどなくて、
心身ともに満身創痍の宗介には悪いけれど、
とても順当に思えて好ましかった。
夜襲のとき、ほとんど何もできない身体なのに、
生きていることと、まだ意思があること、
それだけで戦う姿勢をとるのは、
かなめのことや兵士としての習性もあるのだろうけれど、
それよりももっと深い根っこのところに、
氷の海で死んだ母の言葉があるのかもしれないと思えば、
この男の悪夢にはまだ救いがある。

宗介が一人で戦っている間に、
ミスリルの方も反撃に向けて動いていたようで、
やたらにたくましくなったテッサや、
活き活きと作戦にあたるダナンの面々は、
たかだか1巻分のご無沙汰だったのに、
ひどく懐かしくて、それ以上に頼もしかった。
やられたからやり返す、という理屈は、
アマルガムが世界にとって危険な存在だとしても、
ミスリルの存在理由からすると大変な矛盾で、
そのことを頭たるテッサが思わないわけもないし、
人員の誰もが分かっていることでもあるでしょう。
でも、平和のために命をかけるのには、
危険に見合う待遇とお金が必要でも、
自分と自分が大切なものを傷つけられたとき、
報復に命をかけるのに必要なのは、
良くも悪くもそれをやり遂げる意思だけなのかもしれない。
レナードと相対すること以上に、
報復という単純で危険な理屈で組織が動くことを、
止められないし止めたくないという自分の思いが、
テッサのどこかを軋ませている気がした。

陣代高校での日常が壊れた日に、
宗介を守るために一度諦めてしまったかなめも、
やっと本来の負けん気を取り戻しつつあるようで、
そうでなくては、と快哉を叫びました。
レナードやかなめ自身がどう思っていようと、
虚ろな目で日がな一日物思いにふけったり、
硝煙と油の臭いに満ちた戦場で逃げ回っているより
竹刀片手にやんちゃな生徒や宗介をしばいている方が、
やはり彼女らしくて魅力的だと思う。
宗介があそこに辿り着くために、
人命も含めて多くが失われていることを確信しながら、
それでも「命令」できるほどにはっきりと、
どうやらかなめは自分の心を決めたようで、
それだけで局面が大きく変わった気がするのだから、
このヒロインのパワーと言ったら半端じゃない。
負傷したレナードがどうなるのかにも依るけれど、
こうなったかなめを御するのが大仕事なのは間違いない。

外装が変わっても、四本腕になっても、
相変わらずなアルの帰還が何より嬉しかった。


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