2017年07月 / 06月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫08月

2011.07.31 (Sun)

デュラララ!!×3


デュラララ!!×3
(2006/8)
成田良悟

してしまったことを、
なかったことにはできないように、
し損ねた過去は、
どうやったってやり直せない。
精算できるなんて考えは、まやかしだ。

取り戻すためでなく、
やり直すためでなく、
過去を追う少年は今を見据えている。


【More・・・】

ある関数のグラフの直線、あるいは曲線は、
「線」というひと繋がりの存在ではなく、
あくまで点の集まりなのだと教えられたとき、
なんだそれはと思った覚えがある。
同じような違和感が過去と現在と未来、
その三つのうち認識できるのは過去と未来だけだとか、
その手の物言いをされるときにもあって、
要は、点と点、面と面、その間にある、
あるはずの領域を無視されるのが気に入らないのだと思う。
正臣の過去と、葛藤のお話を読んでいて、
この子の過去のぶつ切り感が気になって仕方なかった。
回想とか思い出、いや記憶そのものが、
過去を都合よく取捨選択した点の集合だということくらい、
納得しているつもりではあるけれど、
それにしても正臣のそれはもはや線に見えない。
違う見方をするなら、ある点が肥大化して、
隣接する点を飲み込んでしまっているような。
それだけ黄色いその点の存在が大きかったのかもしれないが。

1で帝人が都会デビューを果たし、
2で杏里が罪歌と一緒に参入してきて、
ということは3で、と思っていたら案の定。
とはいえ三竦みの構造になぞなるわけもなく、
健全な高校生諸君は睨み合うどころか、
互いを互いに大事に思ったまま周囲の状況が悪化。
過去の件も相まって正臣が追い詰められていく様は、
黄巾賊ができた経緯とか、帝人に何も言わない理由とか、
その辺の想いが理解し易いだけに辛くなる。
ただ、「しかも悪意のない偶然の重なりで」、
とか続けたいところだけれど、
悪意は特定の個人、というか主に臨也にありまくりなので、
三人が追い込まれた状況とその打破の構図は、
悪の黒幕の手のひらの上で、
いたいけな子供たちが力を合わせて頑張る、的感じがして、
三人の切実さには申し訳ないけれど、
なんだか可愛らしく見えて笑ってしまった。
正臣くん、よくできました。

将軍であったとき、つまりは中坊だったときに、
すでに正臣がちゃんと悟っていたように、
いくら高校生になったと言っても、
高校生はどこまでもガキでしかなくて、
古臭い年功序列とかではなく、
もっと殺伐とした実力主義だからこそ、
子供であることは圧倒的な弱みなんだと思う。
認識が十分ではなかったにしろ、
そのことを肝に銘じようとしていただけ、
正臣はリーダーとして優秀だったんだろうけれど、
いかんせん、やはり相手が悪かった。
でも、正臣と黄巾賊のガキどもは、
同時に幸運でもあったんだと思う。
大人の領分で「抗争」を始めてしまったわりには、
粛清される前に事態は収束したし、
死者や決定的な傷を負う人間が出ることもなかった。
沙樹も含めて、社会勉強をしたのかもしれない。

いわば池袋年少組のお話は、
もう少し引っ張るのかと思いきや、
どうやらこれでひと段落のようなので、
セルティと年長組贔屓としては次巻以降に大いに期待。
静雄の弟やら臨也の双子の妹やら、
気になる存在もちらほら出されたことだし。
風穴の一つや二つ開けられたくらいで、
静雄の生命に少しでも影響があるなんて、
もはや誰も思わないだろうけど、
遊馬崎や狩沢、それからサイモンのわきまえた物言いが、
失礼極まりないながら意外な感じがして、
門田さんに関しては格好良すぎた。
ただ、寿司屋で働くサイモンはまあ良いとして、
門田さん以下三人はどうやって食ってるんだろう。
化け物たる静雄やセルティでさえ労働に従事してるのに。
マックとかでプライスレスの笑顔振りまいてたら、
絶対行きたくないけど、見てみたいと思う。

高校をやめて、二人から離れて、
正臣少年と沙樹はどうしているんだろう。
一応学校に来ている誠二と美香より心配です。

スポンサーサイト

テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


00:48  |  成田良悟  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/349-d6834e7d

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |