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2011.08.09 (Tue)

NO.6 #7


NO.6 #7
(2008/10/10)

生き延びるためにも、
誰かを生かすためにも、
血を流さずに済ませるのは難しい。
けれど?だから?

紫苑とネズミは駆け上がる。

前に後ろに走る互いの中に、
見通せないものを感じながら。


【More・・・】

騙されることと裏切られることは、
必ずしも同時に起こらない。
嘘やごまかしを使われて、信じてしまったなら、
それは騙されたと言っていいだろうけれど、
裏切られたと感じたときでも、
おそらく相手に非があることはそう多くない。
裏切りは多分、相手云々ではなく、
自分の中で起こる現象なのだと思う。
そう考えると、裏切られたくないから誰も信じないなんて、
そんなのは無意味な決意でしかない。
本当に裏切られたくないのなら、
信じてはいけないのは己の心の動きそのもののはずで、
その先には他人を信じない以上の極寒が待っている。
なんてことをうだうだと考えながら、
初めて見る互いの姿に惑う紫苑とネズミの道行きを見ていた。
ネズミの無垢な部分を愛しいと思う紫苑と、
紫苑の冷えて熱い部分から目を背けたいネズミ。
自分の中の相手に裏切られながら、
異なる思いに囚われる二人が不思議だった。

#6を読んだのは08年なので、もはや3年以上前。
そりゃあ話も忘れるってもんなんですが、
ついうっかりアニメを見始めてしまったので、
どうにかアニメが終わる前に最後まで読みたいところ。
それはそうと、どうやら物語は緊迫していたようで、
いきなり矯正施設内部でドンパチ始まって面喰いました。
おぼろげに記憶を辿ると、
確か地下でかなりショッキングな出来事があって、
ネズミの過去なんかも触りだけ分かって、
そんなこんなでなんとか施設内部へ、的ことだったはず。
目的は沙布の救出、だと思ってたんですが、
なんでネズミは協力してくれてるんだっけ。
あとイヌカシと力河は何してるんだろうコレ。
やはり読み返す必要がありそうです…。
おそらく脳みそと死体のところを除くと、
今回一番衝撃的だったはずの月薬の死にしても、
この人誰だったけとか思っていては読む甲斐もない。
とりあえず最後まではさらいますが。

過去の出来事を遡ってみれば、
ネズミという人間の在り様は納得できる。
その冷酷さも周到さも確かに根がある。
本人は認めたがらないだろうけれど、
命を奪ったことよりも救ったことを伝えようとするなんて、
それは慈悲の心以外の何ものでもなくて、
そういう温かくて柔い部分もこの男は確かにもっている。
紫苑がネズミを大切に思うのは、
助けたとか救われたとかいうことだけではなく、
過去の続きとしての現在を戦うネズミだからなのだと思う。
一方で、紫苑の錯乱と、その後の静かな状況判断を目にして、
ネズミが紫苑に怯えのようなものを感じるのも分かる。
紫苑の中にある火傷しそうなほど冷たい部分について、
NO.6から弾かれた当初にしていたような、
現実や真実を知らないからだという見方はもはや通用しない。
あの地下を通ってきてしまったから。
紫苑はネズミを森のようだと思っているようだけれど、
ネズミにとっての、読者にとっての紫苑こそ森のようだと思う。
とびきり美しいけれど、奥が見通せない。ただ危険の匂いがする。
最後のときまでに、一歩でも二歩でも踏み込みたい。

犬に育てられ、犬と生きるイヌカシが、
人の子であるシオンを愛おしみながら、
かつて土に返した「あの子」たちのことを想う様に、
この子とさらに小さなシオンの無事を願わずにはいられなかった。
いつどんな形で死ぬか分からない場所で、
捨てられた子供が「イヌカシ」になるまで育ったことは、
本当に奇跡のような確率の先のことなのだと思う。
そして、そういう風に生き延びた子供が、
そういう風には生き延びられなかった子供を埋め、
今は、まだどちらとも決まっていない子供を守っている。
自然に赤ん坊を扱うイヌカシに、無性に泣きたくなった。
イヌカシが金塊なんてものに惹かれるのは、
もちろん自分がもっとマシに生きるためなんだろうけれど、
多分本人がそう思っているよりもずっと、
シオンのことが大きく効いているのだと思う。
でなければ、地下の金塊なんてそんな話、
紫苑とネズミのためとはいえ、命を賭けるには眉唾すぎる。
帰って来るなんて、危ない台詞は吐かないでほしい。

電流が流れなかったのは、
遮断壁、というかマザーが空気読んだんだと思った。


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22:34  |  あさのあつこ  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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