2017年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月

2009.06.18 (Thu)

てのひら怪談


てのひら怪談
(2007/2)
加門七海他

怖いのなら
聞かなければいい。
それで困ることなど、
多分一つもないのだから。

なのにどうして自分は、
耳をふさげないのだろう。

【More・・・】

夏、にはまだ早いですが
実のところ怪談に季節は関係ないんですよね。
というか、
あらセミが鳴いてる、そろそろ出番ね、
なんていう怪異はあんまり怖くないでしょう。
年がら年中、誰彼かまわず、もちろんこっちの都合なんて無視。
そういうものだからこそ、怖い。
怪異、つまりは怪しいとか異なっているということは
多分あんまり大げさじゃない、ありふれたものだと思う。
ん?とか、え?とか、その程度。
そうして後から思い出したり、誰かに語ったりしたとき
ツッとしたり、ゾっとしたりする。
だから、「てのひら」にのるそれは、きっと怪談そのもの。
思うj存分ツッとしたりゾッとしたりしました。

100篇もあるのでその舞台も様々なわけで。
定番の学校、病院、夜道なんかの他に
電車の窓の外、縁側、堤の上、木の根元、電話口…。
日常の一部としか言いようのない風景の中に「え?」が混じるとき
そしてそれを読むときの、何なんでしょう、この快感は。
そもそも「怪談」と名乗る以上、読み手は「恐怖」を期待している。
つくづく変な文化だと思うわけですが、
やっぱりぞくぞくするその瞬間がたまらなく楽しい。
体験談的なものだろうと、バリバリの創作だろうと
語り手の技量さえあれば、怖い話はいくらでも怖くなる。
傑作選というだけあって、なかなかの粒ぞろいで、
一つ一つがというより、
この本の体裁そのものがなんだか好きです。

中でも、という一編を選ぶなら、「マユミ」でしょうか。
似たような手の話で「電話」というのが
そのすぐ後に収録されてますが、
これは「おわりに」にもある通り、
百物語や連歌の構成を意識してのことだそうで
いやはや、その効果は抜群でした。
内容としては都市伝説によくあるような、何かが近づいてくる話で
いわゆる「メリーさん」系のものなんでしょうが
この二編の怖いところは、
どこからが怪異なのかはっきりしないところ、だと思います。

生身の人間によくある間違いだと思っていたものが
ふっとした瞬間に怪異に、恐怖に変わる。
メリーさんだと、一発目の電話からすでに異常は察知できますが
「マユミ」でも「電話」でも、怪異はこちらが気がつくまで姿を現さない。
あちらさんは同じことを繰り返すだけ。ただひたすらに。
実害もほとんどないものだから、
気がつかなければ、ずっとそのままも有り得る。
でもなぜか、気づいてしまう。だから、怖い。
知らずに「それ」と相対し続けてきた過去の時間が、怖い。
害はない代わりに、揺らがないその存在感が、怖い。
電話を取りたくなくなりました。

2もあるようなので、
夏に向けて、暑さ対策の一つに入れておくことにします。

スポンサーサイト

テーマ : 読書感想 - ジャンル : 本・雑誌


23:44  |  複数著者  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://acon6960.blog40.fc2.com/tb.php/37-f67d97be

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP |