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2011.11.13 (Sun)

STEIAS;GATE 円環連鎖のウロボロス①/②


STEIAS;GATE 円環連鎖のウロボロス1
(2010/8/20)
海羽超史郎

時間軸に触れる夢の装置は、
確かに形ある夢を連れてきて、
議論し笑い合える仲間が、
夏を忘れられないものにしてくれた。

けれどいつかは夢の、
あるいは愚かさのツケを払わなくては。
どこへ逃げたって、
世界は因果の網を広げて待っている。


【More・・・】

外から見ればひたすら無為に見えても、
当人たちにとっては大事なことは山ほどある。
価値なんて往々にしてそんなもので、
閉じてしまったその時、その場所には、
外からの戒めの声など届かない。
そこにいる彼らあるいは私たちを動かすのは、
自分の内側からの声と、仲間の声だけ。
オカリンがある夏を中心に経験したことは、
文字通り世界全体を変えてしまう希有なものだけれど、
でも、やはり世界は「彼ら」とその周囲で、
閉じているように見えた、タイムリープの話ではなく。
閉じている、と言うと印象が悪いけれど、
つまりは、やはり世界は主観に支配されていて、
いくら時間や因果律に関与しようと、
そのくびきから逃れることはできないということ。
そういう意味でこの話は「彼ら」の物語、
含まれる勝利も喪失もその内側にだけ意味がある。
それは普通のことで、それでいいんだと思う。
これがこのややこしい話を自分なりに均した結果・・・、
天才少女と議論する勇気は、ない。

アニメ視聴済み(ゲーム未プレイ)で読み始めたので、
話の大筋は把握していただけ理解しやすかったものの、
いきなり世界線云々の話をされていたら、
かなり序盤で議論から取り残されていたかもしれない。
何しろ後半にかけては、
Dメール、タイムリープ、タイムトラベルという、
三種類の時間軸への関与方法によって、
世界線や因果が変化したりしなかったりする上で、
物語を観測するオカリンが世界線理論の外側にいるわ、
どこかの世界線の誰かがタイムリープするわ挙げ句消えるわ、
もう書いてても何が何やら、結局お前誰という状態。
それでもことあるごとに優秀な助手がかみ砕いてくれるので、
なんとかオカリンのいる座標を見失わずには済んだと思う。
本当、紅莉栖すごい。マジすごい。ありがとう。
ラボメンの中ではまゆしぃは若干アホの子扱いだけれど、
まゆしぃの頭がちょっとアレなのではなくて、
他のラボメンが総じて半端ない理解力なだけな気がする。
ラボメンが未来でそれぞれやっていることは、
彼らの有能さとまゆしぃのことを鑑みれば、
全然不自然な結果ではないんでしょう。
そこが暗い場所でさえなければ、そんな彼らも見てたかった。

オカリンが目指す場所に向かう過程で、
消えていったたくさんのラボメンの想いは、
薄く積もるようにそれぞれの中に残っているようで、
思い出という意味ではそれは希望だけれど、
鈴羽の三十五年や何度も死んだまゆりの痛みや、
異なる形で殺す側に回ってしまった綯の絶望や憎悪が、
同じように彼らの奥に刻まれているのなら、
リーディンフシュタイナーの素養を誰もがもっていることは、
それほど喜ばしいことではないのかもしれないと思う。
何度もタイムリープを繰り返す中で、
だんだんと壊れていくオカリンは確かに孤独で、
その特殊な力は忌むべきもののようにも思えるけれど、
「やり直し」が残っていることは、
たとえそこに絶望的な連鎖しか見えないとしても、
希望につながる可能性があるだけマシなんでしょう。
全てを「忘れて」しまう他の誰かの絶望は、
「その」誰かにとってはどうしようもない確定事項で、
タイムリープしたってなかったことにはならない。
そんな硬度の絶望なんて、本当に消えてしまえばいいのに。
それでも、別の世界線の自分や仲間に、
希望を託したダルやまゆしぃの強さに恐れ入る。

辛い決断の末にたどり着いたβ世界線。
オカリンの主観としては「たどり着いた」だけれど、
実際に行われていたのは、
最後の任務を遂行するために、
絶望を確定させて2025年まで生きた渋オカリンや、
その礎になったたくさんのオカリンがしたのと同じ、
いわば経験のリレーなのだと思う。
そして一本のバトン、一つの情報を渡すために、
オカリンだけではなくたくさんの別のラボメンが尽力している。
ときには命やそれに等しい願いを差し出して。
それを考えると、
β世界線の八月二十一日のオカリンに届いたものは、
一人の大学生が受け取るにはあまりに重い。
五十億人の命なんてものには実感がわかないから、
それは横においておくにしても、
見知ったどころではないラボメンの顔を思い浮かべるだけで、
自分なら足がすくんでしまう気がする。
にも関わらずオカリンが高笑いして挑めるのは、
そのバトンを繋いだのが、
まゆりでダルで鈴羽で紅莉栖だから、なのだとしたら、
まっどさいえんてぃすとの風上にも置けないなあ、オカリン。

頭の中を毎回痛痒気持ちいいにした上で、
失敗して壊れる危険を冒してリープするオカリンからすれば、
のび太の引き出しはあまりにお気楽だろうなあ。

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