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2011.11.19 (Sat)

PSYREN another call2 未来は君の手の中に


PSYREN another call2 未来は君の手の中に
(2011/3/4)
岩代俊明、SOW他

戦いは彼らの人生を変えた。
今はもう存在しないあの場所で起きたことは、
どんな能力をもってしても、
ドリフト達の中から消えてなくならない。
知る前には戻れない。

だとしても、
誰の前にもただ茫洋と未来は広がっている。
過去の痛みが道標になってくれるだろう。


【More・・・】

エピローグにはいつでも寂しくさせられる。
なぜなら本来的に物語はもう終わっているから。
少なくとも山場は過ぎている。
役者たちとはもうじきに別れなければならない。
それを意識してしまうから、
残されたものが幸福なものであろうと、
あるいは胸の悪くなるようなものであろうと、
舞台に幕が下りるのを見ているような気持ちになるのだと思う。
描かれなかった物語を幕間で見せてくれたanother call1とは違い、
call2は全編がエピローグ。終わった後の物語。
本編が終わったときにも一度別れているから、
そういう意味では再会とも言えるけれど、
笑顔あふれる結婚式やプールデートを見ていても、
やはり「みんな」を見送っているような気になった。
悲惨な未来を変え、「今」に帰ってきて、
もう一人の雨宮やアゲハの内面のように、
後戻りできない形で変わってしまった部分もあるけれど、
去っていく彼らが明るい笑い声を上げられるなら、
見送る側にしたら、快哉を叫んでいいんでしょう。
でも、さびしい。さびしいなあ…。

打ち切り感はいかんともし難かったにしろ、
本誌での終わり方は物語的には悪くなかったと思う。
それでもやはり、もっとゆっくり描いて欲しかった部分もあって、
「ご愛読…」の文句が恨めしかった。
だから、漫画ではなく小説という形であっても、
彼らの物語をちゃんと終わらせてくれたことが嬉しい。
フブキさんの結婚式の話は、
「ひどい戦いを終えてみんな日常に戻りました」的な、
過去の苦痛を全部水に流してしまうようなものではなく、
ただの高校生、ただのアイドルだった人間が、
殺意を向けられたり、殺意を抱いたりしなければ、
生き残ることのできない世界を駆けずり回った、
その過去をなかったことになどせず、
傷として抱えたまま、業として背負ったまま、
新しい立ち位置と日常をそれぞれが探し出した、ような
そんな印象をもった。
「戻る」のではなく、別の場所に「探す」過程で、
おそらく雨宮もアゲハも、へらっとしているカブトも、
サイレン世界に関わった人間全員が苦しんだんだと思う。
それを思えば、めでたい日のめでたさが胸にくる。

未来が書き換わると同時に、
あの荒廃した未来世界、サイレン世界はなくなったわけで、
今生きているエルモアウッドの子供たちが、
暗闇の中を走るようなあの10年を過ごさなくていいように、
億単位の人間を殺し、化け物にするW.I.S.Eが生まれることは多分ない。
ただ、変化が及ぶのはあの最後の戦いより後に起こるはずだった未来で、
それ以前のこと、つまりサイキッカーが経験した苦痛は、
憎悪はなかったことにはなっていない。
ミスラという黒幕の存在が明かされた分だけ、
弥勒は自分の心を客観的に見れらるようになったのだとは思うけれど、
そこから破壊的なW.I.S.Eとは別の、
何かを生み育てることのできる集団を作ることができたのは、
天戯弥勒という男が本来もっていた性質が大きい気がする。
他のどの子供よりも朗らかに笑っていた少年と、
小さな島に「国」を作ろうとしている男は、
確かにつながっているように見えた。
逆に言えば、そんな人間をあんな所業に駆り立てた実験が、
どれほどのものだったかという話でもある。
それはそうと、いつか、と言って思念だけを送っておきながら、
姉の心を理解した途端に顔を見せるあたり、
なんだか初めて弥勒をかわいいと思った。

電波からヤンツン両デレ、乙女に武器マニアまで、
盛りだくさんに色々見せてくれた雨宮さん。
二つに分かれた心はどうやら統合されないらしく、
というか実体化さえ可能になったようで、
こんな三人(?)が一緒に世界を旅しているのかと思うと、
その道行きに起こるであろう諸々を想像するだけで楽しい。
プールに遊びにきて、アビスとアゲハを取り合うなんて、
普段の雨宮さんからしたらかなりはっちゃけているけれど、
殺伐とした世界から戻って、
新しい使命のための戦いを始める前に、
アビスと雨宮桜子、両方の自分がどこを向いているのか、
ちゃんと認めておくために、
雨宮さんには、そしてアビスには、
こういう日が必要だったんだろうなと思う。
まあ単純に頑張りまくった二人へのご褒美でもあるんだろうけど。
アゲハが回復した直後からこんなだったなら、
そりゃあ朝河先生に入り込む余地はないわな。
努力・・・なんだろう悲しい。

ミスラの贄となった少女にまつわるお話は、
彼らが救ったのが世界なんて大きなものというより、
そこに住まう一人一人の可能性なんだと思える話だった。

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