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2011.11.29 (Tue)

世界平和は一家団欒のあとに⑤ 追いかけてマイダーリン


世界平和は一家団欒のあとに⑤ 追いかけてマイダーリン
(2008/7/10)
橋本和也

異能をもつ六人の子供たちと、
元勇者で浮気者の夫、
そして異世界の姫だった自分、
それらからなる彼女の家庭。

冒険の終着点は暖かい。

【More・・・】

子が親を選んで生まれてくるわけではないように、
親だって子供を選ぶことができない、とか
そんな物言いは正確ではない。
もちろんどんな子供が生まれてくるかについては、
人がどうこうできる領域ではないけれど、
少なくとも親は子供を作るかどうかを選べる。
偶然や誰かのせいになどせずに、
二人一緒になってちゃんと選ぶべきだし、
選んだということを忘れてはいけないとも思う。
その意味において、血の繋がりで成り立つ家族は、
できるものではなく、作るもの。
現在の星弓家の起点となる最初の二人、耕作と志乃は、
その自覚をちゃんともって家族を始めたんだろうな、と
お姫様の家出の顛末や、
まだお母さんでも親父でもなかった頃の二人を見ていて思った。
六人の子供をなして、その内一人を失って、
常に誰かが出かけているような家であっても、
家族全員にとって帰る場所があそこ以外にあり得ないなら、
姫と勇者の家庭作りは大成功と言えるんでしょう。

実家へ帰らせていただきます、なんて
現実に言う奥方がいるのかとも思うけれど、
自分の生家には戻れない事情があるとはいえ、
そこで怒り心頭の相手である夫の実家へ行く妻はいないと思う。
まあダメな実の息子よりも、
義理の娘の味方をする二親はいるかもしれないけれど。
その上で結局寂しくなってハガキを出してきては、
お母さんかわいいと思わずにはいられない。
まだ自分は怒ってるんだ、と思っている時点で、
最初の怒りはもうなくなっていたはずで、
普通に全員でまっすぐ迎えにいっていれば、
お母さんの新たな怒りを買うこともなく、
海藤にチャンスを与えることもなく、
精々親父の土下座くらいでことは済んだのに。
せっかくの夏に不幸な食事を強要された後に、
若者ばかりで海に連れてこられたら、
遊ばずにはいられないのもよく分かるが。
それにしても美智乃グッジョブだったなあ。

親は子供より早くいなくなるものだし、
そうであることが両者にとっての幸福なんだろうけれど、
ある日突然二度と会えない場所に、は同じでも、
そこに親自身の意思があるのなら話は別だと思う。
子供たちがもう一人立ちしていて、
それぞれの生活をもっているならまだしも、
まだ学生もたくさんいて、
食事ひとつとっても二週間で荒廃するようでは
星弓家にはまだ「お母さん」が必要でしょう。
海藤の立場からすればその言葉ももっともだし、
否と言う軋人のそれが子供のわがままだというのも分かる。
子供たちの母親である前に、
志乃さんが誰かの娘で一国の王女なのもその通り。
でも、そこに必要があるのなら、
子供はわがままを言っていい。
自分たちを置いていなくなろうとするお母さんを、
全力で止めにいってもいいと思う。
結果どうなるとしても、
その姿と声に心を引き裂かれることが、
親であることの義務におそらく含まれている。

残念ながら彩美さんは参加できなかったけれど、
今回は厄介な相手に家族で立ち向かう構成になっていて、
一度海藤に各個撃破された経緯を見ていると、
世界の平和を守ってはいながらも、
一人ひとりの力にはそれができるだけの万能性がないんだなと思った。
それは「超越」の七美にさえ言えることで、
攻撃系の能力である軋人の「冒涜」や刻人の「破壊」も、
たった一人の異世界人に対処するだけでも荷が勝ちすぎる。
今回は初めてコンビネーション的に共闘したけれど、
多分今までも彼ら家族は、
誰か一人の力ではカバーしきれない分を、
それぞれの能力の範囲内で補い合いながら、
ぎりぎりのところで世界平和を実現してきたんだと思う。
まあ、七美というジョーカー的カードがあるので、
大抵の場合はそれでどうにかなってきた面もあるんだとも思う。
姫の故郷である異世界の平和には間接的に関与しているけれど、
基本的に今回は世界がどうのという話は関係なく、
本当にお母さんがいなくなるかどうかという話なので、
その分、子供たちとしては絶対に負けるわけにはいかなかった。
だからこその策に策を重ねる念の入れようだったんでしょう。
美智乃には多少我慢してもらわねば。

浮気者で調子良くて、
どこまでもカッコつけな親父は、
あとでみんなでボコっておこう。

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