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2012.02.15 (Wed)

夏目友人帳13巻


夏目友人帳13
(2012/1/4)
緑川ゆき

同じものを見ることができて、
言葉も間違いなく通じていても、
歩み寄れるとは限らない。

けれど、見えているものが違って、
全てを話すことが難しくても、
友人になれる相手も確かにいる。

夏目の友人は妖と見える人々ばかりではない。


【More・・・】

愛情や友情どころか、
単純な好意さえほとんど向けられずに、
理不尽に忌避されてしまう子供だった夏目が、
人を「苦手」と言うのは道理だと思っていた。
でも、思えば苦手程度で留まっていること自体が、
人とのつながりを求めずにはいられないがゆえの、
無意識のブレーキだったのだとしたら、
守りたいものと自分の側に立ってくれる存在を得て、
もはや一人ではなくなった夏目が、
的場という名に激しく反応して、
ぎょっとする程嫌悪や恐れをむき出しにするその表情は、
本来この少年が持っていたもの、なのかもしれない。
近頃はかなり表情豊かになってきたものの、
それでも人に向けるものよりも、
妖たちに向ける感情の方がまだバラエティに富んでいて、
人である的場に強い感情を向けられるようになっただけ、
夏目の枷は外れつつある、とも見られるけれど、
出来ればレイコの悪友たちに見せるような、
素直な怒りや好意を早く人間の友人にも見せられるといい。
終始厳しい表情をしているのは単純に悲しい。

的場に向き合っている間中、
ほとんどずっと顔を青ざめさせたりしている夏目を見ていて、
名取と知り合ったばかりの頃を思い出した。
別段夏目やその周辺の妖に用があって来たのでなくても、
夏目はこの人の気配を感じる度に揺れていた。
それは問答無用で妖を祓ってしまうやり方によって、
肯定できるようになってきていた妖とのつながりを
断ち切られてしまうことを恐れたからだけれど、
名取が変わり、二人の距離が近くなって、
困ったときに頼ることができるまでになったのは、
今回なんとも感慨深かった。名取の動揺も仕方ない。
やり方だけを見れば的場と最初の頃の名取はそう変わらない。
違うのは的場にとっては人も敵となり得ることで、
目的のためには傷つけることさえ厭わない点。
今までの何回かの接触の感触から考えると、
おそらく的場の側が変わることはないんだろうと思う。
そして藤原さんまで引き合いに出した時点で、
夏目が彼ら一門の考え方に共鳴することも多分ない。
人とも妖ともわかり合いたいと望み続ける夏目が、
その歩み寄れない距離をこれからどうすしていくのか、
不安をもって見守ることにする。

ニャンコ先生が面倒な相手を食ってやると言うのは、
もう何度目かも分からないいつものことで、
そのたび、相手が妖でも人でも、
夏目はすぐさま止めに入るのが常だったのに、
今回、的場を食ってやると言った先生に対して、
夏目は意識してかしないでか、「うん」と答えている。
先生が実際に食らいつこうとしたりしたら、
もちろん夏目は反射的に止めに入るのだろうけれど、
それでも、的場という存在はそれほどなのかと思った。
簡単に排除できる道を心に留めずには、
向き合い続けられないほとに揺さぶられているのか。
夏目が揺れるのはいつも痛々しくて、
できれば的場なんかには関わらずにいて欲しい。
でも、堪えてながらでも夏目が今回の件を引き受けた背景には、
名取との関係や祓い屋全般との関係についての、
このままではダメだという思いがある。
そんな子には、頑張れ、と言うしかない。

西村と北本は妖の存在自体認識していないので、
多軌や田沼よりもよほど夏目が奇妙に見えて当然だと思う。
小さい頃からの経験と努力によって、
夏目は類い希なごまかしスキルを持っているから、
なんとかごまかせているつもりなんだろうけれど、
多分西村と北本の二人は、
友人が何か言えない秘密を持っていることに気づいている。
でも、それを問いただしたりはしない。
言ってくれないことで、失望したりもしない。
それは何も夏目が特別な存在だからではなく、
西村が兄と家族のことで息苦しい思いをしていたり、
北本が進路のことで悩みをもっていたりするのを、
それぞれが胸の内に秘めたまま、
殊更に互いの中に踏み込まないことと変わらないのだと思う。
言わないことには相応の理由と思いがあることを、
彼らはちゃんと理解し合っている。
ここにいたいと言う夏目になぜと返さず、
良かったなと言う北本なのだから、
もしも夏目が同じように「きいてくれるか?」と言って、
妖のことを話しても、きっとはにかんでくれる。
そのときが早くくればいい。

的場が名取のとかげの痣について語った、
妖とは、という言葉は、
そのまま自身の目のことなのだろうと思う。

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テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


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