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2009.07.14 (Tue)

片耳うさぎ


片耳うさぎ
(2009/11/10)
大崎梢

家に入れてはいけないものは
鬼でも貧乏神でもない。
むかしむかしの恨みを抱き
家を呪い続ける獣。
それは…

うさぎ。

どうも緊張感に欠ける…。

【More・・・】

広いお屋敷にばらばらな家族。
気味の悪い歌とともに語られる忌まわしい伝説。
そして現代との奇妙な符合。
ここまでそろえば、
金田一な青年やら少年が出てきそうなものですが
なんだかいまいち締まらないのは
主人公たちが小中学生の女の子だからか、
それとも結局事件らしい事件がないからか…。

主人公の少女・奈都の寂しさも
広すぎるお屋敷に怯える気持ちも、分かるには分かる。
でも、なんだか大げさな気もしてしまう。
自分が小学校六年生だった頃を考えると
数日間限定で古くて広いお屋敷に置いてけぼりという状況は
「最悪」にはほど遠い気がしてしまう。
むしろ若干わくわくすると思う。
本当に一人きりならまだしも
馴染めないとはいえ、たくさんの親戚がいるなら
何もそこまで怖がることはないんじゃ?
などと思ってしまった時点で、
その後奈都が怖がるたびに白けてしまった感が…。

それでも
「中に入れてはならない片耳うさぎ」という存在は、
その妙に間の抜けた感じが逆に現実的で、しっくりきた。
過去にあった事件からできた家の中での忌み事なんてものは
はたから見たら結構バカバカしいんじゃないかと思う。
まあ、そもそも「家」での出来事は
中にいるか外にいるかで、雲泥の差があるんでしょうが。
蔵波家ではそれが「うさぎ」と「おひたし」。
なんていう平和な響きの忌み事…。
でも変に物々しいよりも、馴染みやすい。
日常にあったものが何かのきっかけでそうなるワケだから
「うさぎ」くらいの平和さでむしろ正しいのかもしれない。

起きたような起きなかったような事件の顛末は
伝説の時代と、奈都にとっての大昔と、奈都の今とが
繋がったり、全然繋がらなかったり。
物足りない感もありますが、
「うさぎ」と同じで、現実はその程度なんだろうなとも思う。
何もかもが過去とリンクして一致するなんてあり得ないし、
当然事件の端々に収まりの悪いものがいたりもする。
誰かが作中で言っていたように
そのささいだったり、大きかったりする食い違いは
人の記憶の適当さが埋めてくれる。
そうして気味の悪い噂や伝説が出来上がる。
多分、そういうことなんだろうと思います。

違和感に納得する、という
変な感じを随所で味わった一冊でした。

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