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2009.08.01 (Sat)

自選恐怖小説集 霧が晴れた時


自選恐怖小説集 霧が晴れた時
(1993/7)
小松左京

ここでない場所へ行きたいと
若者たちは町を出る。
そんなことをする必要はないのに。
「ここでない場所」は
あちらからやってくる。

逃げられやしない。

【More・・・】

「くだん」といえば
予言を吐いてすぐ死ぬケダモノと
その回避法を吐いて死ぬケダモノ、その雌雄一対。
まあ、完全にぬ~べ~からのイメージですが。
詳しいことは知りませんが
「くだんのはは」を読む限り、
「予言の化け物」という形はある程度「くだん」の典型な模様。
ただ、強大な予言の力を持ったくだんの娘よりも、
死にかけのうさぎの形で生まれたぬ~べ~のくだんの方が、
自分としてはおそろしい気がする。

恐怖小説集。
その十五の短編の中で「怖い」と感じたのは
「秘密(タプ)」と「召集令状」、それから「霧が晴れた時」
他の十二篇は、怖いというより奇妙だと思った。
ちょうど「世にも奇妙な物語」のドラマを見ているような。
あれも怖いのとそうでないのがあるけれど、
その違いはどこの辺りにあるんだろう。
死人とか幽霊が出る出ないの違いでは多分ない。
と、つらつらと考えてみるに
私の場合の恐怖は「理不尽さ」にあるのかもしれないと思った。

「秘密(タプ)」では
なんのこともない休日の風景が
ただ普段しないやり方で掃除をしたというだけで
唐突に惨状に変わる。
非があるとすれば、不用意な蒐集をした夫だけれど、
妻も妹も、その兄たちも、
その他「秘密」を共有することになった誰も
悪いことはしていない。
でも、異国の理が彼らを日常から引きずり出す。
何の前触れもなく。

「召集令状」では
それがある男の妄執、そして戦争。
「霧が晴れた時」に至っては
なんの説明も理屈もなく、それは起こる。
抵抗するすべはない。
こちらの理屈は徹底的に無視される。
無差別に、力は行使される。
それはとても怖いことだと思う。
自分が何かして起こることならまだしも
真っ当に生きてきて、でも唐突に全部を奪われる。
超常的な力によってでなくても
そういう事態はまま起こるわけですが。

何を怖いと思うかは
おそらく何を好きかということと同じくらい様々で
私の「理不尽さ」への怯えとは全く違う恐怖を
誰もがそれぞれに持っているんでしょう。
十五の内一つか二つはきっと、誰かの「怖い」話。
そんな小説集でした。


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