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2009.08.06 (Thu)

アツイヒビ


アツイヒビ
(2002/6/5)
緑川ゆき

誰かのため、を
口にするより速く
意識に上るより、まだ速く
体現する彼らが
まぶしい気がした。

【More・・・】

「夏目友人帳」を好きになって
それから昔の短編集をさかのぼるように読んでるわけですが
だんだん少女マンガ色が濃くなってくのは
ちょっと不思議な感じがします。
でも、芯にあるものはどれも同じ気がして
どんな形で表出するかにかかわらず
やっぱり好きだと思うあたり、緑川さんにベタ惚れな模様。

「蛍火の杜へ」にあったどうしようもない縛りみたいなものは
「アツイヒビ」の中に生きている学生諸君にはない。
相手は自分と同じ学生で、血のつながりも種族の隔たりもない。
欲しいなら、手を伸ばすことができる。
でも、だからと言って、手に入る訳じゃない、なんて
当たり前と言えばその通りなんですが、こと恋愛に関しては。
それでも、手を伸ばせるなら、伸ばせばいいのに、
少年たちは欲しがろうとしない。なんだかもどかしい。
室園や遠山なんかの少女たちはわりと自分に正直なのに。
学生服の下に、大人顔負けの理性と諦観が巣くっているようで
違和感みたいなものもある。

でも、その違和感は多分、
少年たちが欲しがっているものが本当は
少女たちが彼らを求めるものと少しズレているからな気がする。

池田は確かに室園を求めている。
でも本当に重要なのは「求めたものが手に入ること」
それが室園であることはそれほど重要じゃない。
そう考えると、池田が随分ひどいやつな感じがしますが、
家族を失って、家族だと思っていた人を満たすことができなくて
それでも手を伸ばすことを諦めたくない気持ちがそうさせるなら、
あまりに痛々しいやり方。
しかも、やっと得た友人を傷つけないために、それも諦める。
もうなんだか、遠山じゃないけれど、池田が好きだと思ってしまった…。
なんだこの優しさ魔人(?)は。

それから、「花の跡」の倉田と菊池。
誰かと同じものを見るのは難しいことですが、
この二人に関して言えば、ほとんどずっと重ならない。
そもそも倉田が見ているものは、多分倉田にしか理解できない。
理解したいと、近づきたいと願う菊池のそれは
彼女にしてみれば恋だったのかもしれないけれど、
はたから見れば、なんだかあまり恋愛っぽくない。
好きになってほしいとか、そういう感情なしに
ただ苦しみを溶かしてあげたいと思うことは、
なんと呼べばいいんでしょう。
最後に天井裏で倉田の中からあふれたものを目にして、
泣く菊池がとても真似できないくらいまっすぐだと思った。

「名前のない客」の三郎の活躍を読みながら
「九番目のムサシ」を思い出しました。
実は女、とかいうオチはありませんでしたが。
それにしても、なんだか女の子が強い短編集だったなあ。



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