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2009.08.16 (Sun)

精霊の守り人


精霊の守り人
(2007/3)
上橋菜穂子

野を駆け、山を飛び回り、
短槍をひらめかせて
追手も彼岸の化け物も払いのける。

三十路のヒロイン、登場!

【More・・・】

物語はいつも本当とは違うけれど、
それが異世界の出来事なら、
その構成されている世界そのものが「本当」ではない。
少なくとも私が見知っている世界からは遠い、はず。
でも、ノギ屋の弁当や鳥飯はうまそうで、
狩穴での冬越しや夏至祭りの光景は懐かしい気がする。
まるでサグとナユグのように、
バルサの駆ける野や田畑と、
私の歩くコンクリートの舗装道が同じ場所にあるかのよう。
なんだか、嬉しくなる。

一応児童文学に分類される物語の主人公が30才の女用心棒。
この時点で異様な気がしますが、
そういえば、その児童文学なるものに近しかった頃、
憧れたのは自分からかけ離れた力に恵まれた少年少女より、
ちゃんと大人になったかつての少年少女だった気がします。
相応の力をもち、綺麗なばかりじゃない世間を知り、
それでもちゃんと子供たちに手を差し伸べられる、そんな大人。
そんな大人が近くにいてほしいという思い、
それから、そんな大人になる未来を夢見てもいた。
バルサは、そんな大人だ。

そんなバルサの少女時代は
彼女自身が語っているように、確かにひどいものだった。
家族も故郷もなくし、日々の暮らしにも困り、命さえ狙われる。
けれど、バルサは多分、幸運でもあったんだろうなとも思う。
ジグロがいて、タンダという友を得て、トリガイという見守る人もいた。
旅の暮らしの中でも、そこここに繋がりを得た。
そういう過去がチャグムを抱き締める手に刻まれているからこそ、
チャグムは鍛えられもするし、八つ当たりもできるんだなあ。
チャグムもまた、幸運な少年だ。

それにしても、まったくもって気を抜けない。
バルサとチャグムの八か月にわたる水の精霊のまつわる話と同時に
タンダ、トロガイ、狩人たち、聖導師とシュガ、帝と妃…。
それぞれの物語が、どれも薄くならず、進む。
贅沢だなあと思う。
それぞれを別に主人公にした物語も読んでみたい。
特にトロガイ・タンダ師弟の物語なんて面白そう。
ちょい役で少女時代のバルサとジグロがいて、
若い帝がお出ましになっても楽しそう。
などと妄想をふくらませてしまうほど、
彼らに魅了されてしまったようです。

長いシリーズなので、
もしかしたらそういう話も出てるかもしれません。
楽しみに読み進めていくことにしましょう。



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20:39  |  上橋菜穂子  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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