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2009.08.18 (Tue)

闇の守り人


闇の守り人
(2007/6)
上橋菜穂子

もう一つの世界。
ここではない、どこか。

それに憧れる一方で、
そこがここの地続きであることも、
どこかで願っている。


【More・・・】

随分小さい頃、
家の近くの竹林にあった洞窟を探検したことがあります。
あの年齢の子供が四つん這いで潜ったくらいなので、
洞窟というには小さかったかもしれませんが、
それでも闇の濃さはよく覚えています。
そんなことを思い出した、バルサの洞窟探検編。
小さな牧童たちや、さらに小さなティティ・ランやら、
ファンタジックな要素が増えて、
世界は更に色づいたような気がします。

トンネルの向こうは異世界。
出稼ぎの労働者が行き来したりするので、
そこまではっきりした断絶はないにしろ、
新ヨゴ王国とカンバル王国は確かに別ものなんだなと思う。
貧富の差はもとより、
世界を認識する方法そのものが異なっているのがよく分かる。
テレビやら何やらで知る「文化の違い」なんかよりも、
それはそれは、不思議なほど鮮明に。
だから、カンバルの理屈で話が進んでいくと、
サグとナユグを股にかけていた、
「精霊…」の世界が否定されるようで寂しかったんですが、
ノノがノユークの話をしてくれたときは嬉しかった。
ちゃんと繋がってるんだな、と思えて。

第二巻なわけですが、
今回はチャグムのときとは違い、
バルサ自身に深く関わる話だけあって、
一つのものをじっくり読んだような印象があります。
それぞれがたまたまチャグムと精霊を中心に交差しただけ、
という感じが物語の大半だった「精霊…」とは違って、
みんなバルサとジグロ、そしてカンバル王に関わる者として、
同じ方向を向いているような気がしました。
そうして最後にあの儀式場に会したような。
目的はそれぞれでも、何か一体感。

地の底の国、といえば死者の国を連想しますが、
山の王が統べる、ヒョウルたちの国はそう単純ではない。
死骸が他の生き物の生きる糧になるだけでなく、
カンバルでははるか昔から、魂までもが国を支えている。
祖先崇拝とは別の次元で、それが起こる。
大いなる力の誕生のために、ヨゴで人の力が必要なように、
山の王が生まれ直すために、人が要る。
そうした結果として、人は彼らに支えられる。
方法が違っても、やはり二つの国は同じ世界にあるんだなと思う。
そんな風に世界を描き出せる上橋さんに感服しました。

舞うことで過去と決着をつけたバルサですが、
この先はどうするつもりなんでしょう。
とりあえずタンダの山菜鍋をつつきに帰る彼女に、
のこのこついていくことにします。

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藍色 |  2010年09月13日(月) 16:29 |  URL |  【コメント編集】

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