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2009.09.03 (Thu)

風が強く吹いている


風が強く吹いている
(2006/9/21)
三浦しをん

一年生の仕事は、
走ること。
先輩から聞かされた、
運動部の常識。

アオタケの住人10人、
凄まじい仕事人。


【More・・・】

自分が知らない場所、たどり着くことのない場所。
それは何も魔法や異なる理が息づくような、
異世界ばかりじゃないのだと思った。
手の届く範囲の外に、
決して触れられない世界が確かにある。
走ることを知らなくてこれなら、
そこに近づいた上で手を振り払われるのには、
段違いの痛みがあるんでしょう、きっと。
竹青荘の面々は人ができている、と思いつつ、
そんな痛みを忘れさせてしまうほどの走りというものを
実際に見てみたいとも思った。

弱小校が様々な苦労を乗り越えて強豪を打ち破る。
燃えはするものの、何かやはり腑に落ちないものも感じるのが、
そういう物語の常だと思ってたんですが、
弱小どころか存亡も怪しい陸上部の一年の話は、
なんだかえらくすっきりとした気持ちで読めた。
とてつもなく珍しいけれど、全くないとも言い切れない。
そんな絶妙なところを突いた話だと思う。
10人中7人が陸上未経験者のチームが、
箱根駅伝の予選会を突破して、本戦でさらに上にいく。
冷静に考えれば、ほぼ不可能だと思う。
でも、読んでいるうちはそうは思わなかった。
読み終わって、その結果を見ても、
不可能を力ずくで可能にしたとは思わない。
なさそうだけれど、ある話と思える。うまいと思う。

それはそうと、
10人のキャラクターが素晴らしい。
練習風景もアオタケでの様子も、
それぞれの言動がちぐはぐに感じる箇所がない。
双子でさえ、後半にかけて見分け(?)られる。
そうだからこそ、各区間を走るそれぞれの胸の内が、
何の違和感もなく、そうか、と受け入れられるんだと思う。
この先走り続ける者もそうでない者も、
同じチームの中にぴったりと収まって、
同じ襷を繋いで、同じ場所を目指す。
奇跡のようだ、とか思う一方で清瀬の手腕に脱帽してしまう。
凄まじい男だなあ、ハイジ。

スポーツでも学問でも、
何かに捕らわれるように一心になるということは、
総じて恋なんだなあ、とかちょっと恥ずかしいことも感じた。
走ることにそれを見る走や藤岡も、
そんな走に光を見る清瀬も、
みんな恋をしているかのように見える。
夢、というと重いようで軽々しい気もするけれど、
恋なら、叶わなかったり祝福されたりするのは当然に思える。
才能やら運やら努力やら、
結果を左右するものはたくさんあるけれど、
それをしている間は苦しくて、楽しい。
やはり恋なんだと思う。

そういえば…、
葉菜子ちゃんをめぐる恋愛の話はどうなったんでしょう。
まあ何にしろ、
仲良きことは美しきかな、なエピローグでした。

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