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2009.10.17 (Sat)

ハリー・ポッターと死の秘宝 上下


ハリー・ポッターと死の秘宝
(2008/07/23)
J. K. ローリング

たくさんの常識を覆し、
物語の世界を築く、魔法。

ただし、それが飛び交う場所にも
なんの変哲もないものが転がっている。
愛や友情や死なんかが。

【More・・・】

読み進めていって、
残りのページ数が減ってくると、
物語の緊迫と別に、たまらなく寂しくなった。
誰が生き残っても、生き残らなくても、
あとこれだけで彼らを別れなければいけない。
そのことが堪らなくなって、
意味もなく本を閉じてみたり、置いてみたり。
まあ結局は物語の力に負けてまた開く訳ですが。
読み終わって、案の定寂しい。

この最終巻を読むために
夏ごろから一巻から全て読み直していたので、
そこに散らばっていたあれこれが回収されていく様が
よりはっきりと見えて嘆息ものだった。
数々の謎や仕掛けだけでなく、
出てくる人々それぞれの感情までちゃんと繋がっている。
だから、誰が誰をどう想い、憎み、悼んでいても
どこにも不自然なところがない。
ローリングさんのその上手さの上に、
物語の中では七年、読んでる側にしたら一巻を読んでからの丸九年。
だてに長く付き合ってるわけじゃないので、
誰かと誰かがくっ付けば親のように嬉しいし、
裏切りは悲しく腹立たしく、死はあまりに痛い。
もうこうなってしまったら、作者の勝ちだと思う。

シリーズ全体を通してみれば、
後半にかけてたくさんの人が死んでいく。
特に最終巻は別れの連続で涙腺がどうかなりそうだった。
ただ、その死がどれも容赦ないあたりが、
「ハリー・ポッター」なんだろうなと思う。
空も飛べるし、姿も消せるけれど、
魔法は全然自由でも無敵でもない。
誰かの心を思い通りにすることも、
胸に刺さったナイフをなかったことにもできない。
死は大切な人たちに別れの場面も与えずに連れさっていく。
しばし呆然となるけれど、ああこれが死だと自然に思える。
魔法や魔法生物の詳細さよりも
その甘えも幻想も許さない死の訪れが
ハリーの世界を支えている柱の一つのような気がした。

下巻の第33章については
こうくるんじゃないかという予想はあったとはいえ、
やっぱり実際読むとずんときた。
どうしてなんて言葉も、もしなんていう仮定も無意味なほど、
あまりに真っすぐな想いを抱え込んだあの人。
師の問いかけに即答したその言葉が忘れられない。
きっとあの最期の言葉は、
自分の心を見せたくない想いよりも
長く長く持ち続けたたった一つの想いを取った結果なんでしょう。
どんな戦いよりも凄まじい一章でした。

この物語と過ごした数年間を想いながら、
しばし呆然としていたいと思います。



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