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2009.10.04 (Sun)

百器徒然袋 雨


百器徒然袋 雨
(2005/9)
京極夏彦

桃太郎は、
猿と雉と犬を引き連れる。
きび団子を腰にぶら下げて、
鬼を退治するために。

礼二郎は、
サルとトリ頭と愚か者を引き連れる。
丸腰に、不機嫌な古本屋の袖を引っ掴んで、
気に入らない奴をやっつけるために。


【More・・・】

神になる、なんて嘯く人間は、
結局神にはなれないんだろうな、とか
榎木津を見てると思ったりします。
神はなるというより、であるもの。
言いきられてしまったら、ぐうの音も出ない。
出る関口くん、というかそれしか出ない彼もある意味凄い。
まあ、河原崎のように即答ってのもどうかと思いますが。

古本屋や小説家が活躍する事件より、
探偵が活躍する事件の方がまだありそうなものですが、
なんでこうわちゃわちゃになるのかと言えば、
ひとえにそれが榎木津礼二郎だから、としか言いようがないような。
たとえば「雨」の中の三つの事件から探偵を抜くとすると、
スエさんの憑きもの以外はほぼ放置だったんでしょう。
腰の重い古本屋が動くはずもなく、
古道具屋や釣り堀の親爺が巻き込まれることもなく。
探偵が仕切るとあちこち問答無用で巻き込むので、
できるだけ巻き込まないスタンスの古本屋より格段に話が早い。
その分怪我人と物的被害が増えるんですが。
どっちが当事者(?)にとっていいのかは、考えようかもしれません。

それにしても、
仕切りが榎木津になると古本屋がよく笑う笑う。
嫌々自分が出張るときは、くすりともしないくせに。
いや、くすりとかされたらそれはそれで怖いですが。
でも、まさか「わはは」ではないにしろ、
古本屋はどんな風に笑うのか、気になるところ。
ケケケだと益田くんになるしなあ。
古本屋以外の面々も、
陰気や迫力、奇妙さが増してみたり。
なんだかみんな活き活き(?)してる。
それは誰も当事者じゃないからなのか、
それともカマだのカメだの山嵐だの、
陰惨さの合間に妙なものが挟まっているからなのか。
読んでる方は楽しいんで、一向に構いませんが。

事件のあらまし自体も、
古本屋が出張るものに比べれば、分かりやすい。
前作の「塗仏の宴」のややこしさと言ったらなかったもので。
事件の混沌に目移りせずに、
安心して探偵殿と下僕の者どもの活躍を楽しめました。
こうして見ると、誰も彼もが彼の下僕に見えてしまうあたり、
探偵、つまり神の神たるゆえんなんだろうな、とか思う時点で、
すでにかの探偵に引きずられている気もしますが。

「僕はむしゃくしゃしているので最後に一発くらいは殴らせて貰いますが」
殴る理由がこれで許されるのは、多分こいつくらいだろうなあ、と
変な感心の仕方をしてしまった、あははな一冊でした。

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