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2009.10.23 (Fri)

神の守り人 上 来訪編


神の守り人<下>来訪編
(2009/7/28)
上橋菜穂子

大いなる力を行使して
少女は、笑う。

身の内に守る神に
守られながら。

【More・・・】

三十路を過ぎているという、バルサの年齢。
それをなんだかひしひしを感じた。
もちろん、まだまだ衰えなんかとは縁のない強さなんですが、
体ではなく、もっと奥の方にある何かが、
確かに年月に応じたものを刻んでいる気がする。
多分それは傷ではなくしわで、
誰にとっても、当然といえば当然のもの。
バルサもまたそれを重ねていて、
その上でのあの躍動と曲がらなさ。
改めて、この人は強い人だと思った。

過去の自分、もう癒えたはずの傷。
そういうものに気づかされたとき、
そこから逃げないのがバルサなんだなとも思う。
自嘲的になりながらも、
まだそこにかさぶたがあることから目をそらさない。
自分がかつて傷ついたことを恥じない。
そしてそれをえぐる結果になったとしても、
傷つこうとしている者に向けて手を伸ばす。
かつて助けられたから、自分も助けるとか、
弱っているものを見過ごせないとか、
そんな口当たりのいい想いではなく、
計算式の末尾の=の後に答えを書くような、
そんな簡潔さで、バルサの場合は状況の先に選択があるんだと思う。
同じ状況に置かれれば、何度でも同じ選択をする。
バルサの中にある、それをさせる芯のようなものが羨ましい。

ヨゴ、サンガル、カンバル、ロタ。
それぞれの国の成り立たせているものが色々と語られますが、
結局こちらとあちら、その狭間の話な気がします。
特に今回は国境を超えて随分移動するからかもしれませんが。
タンダが言うように、
二重写しにあるらしい二つの世界の呼び名と解釈が違うだけ。
「あなたの信じる神がどんな名前であれ、あなたに神の御加護を」
そんなことを言った人がいましたが、まさにそれ。
バルサ自身はその辺りのことに関して軽やかですが、
だからこそアスラの頑なさが痛々しく見えた。
アスラの場合、育った土地の信仰を吸い上げたというより、
その教えが母のものだから捨てられない訳で、
母が娘に残すものとしてはあまりに酷だと思う。
まあ、身に宿った破壊の力を
母に断罪されるよりはいいのかもしれませんが。

それにしても、
強いとはいえ、バルサは怪我が絶えませんな。
数えきれないくらいタンダが縫っているという話も納得。
一応依頼されたとはいえ、
チャグムのときは特に後半にかけて仕事っぽくなかったので、
そういえばちゃんと用心棒の仕事をするバルサは初めてかも。
同時進行で仕事外の子守つきとはいえ。
何から逃れ、何と戦うのかも曖昧なままの旅立ちでしたが、
無事にタンダと合流できたら、とりあえず万々歳。
ついでに二人が二人で幸せな未来があったらいい、とか思います。
せめて傷を縫ったり何だりじゃない未来が。
まだまだ遠い話のような気はしますが。

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20:46  |  上橋菜穂子  |  TB(1)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

とてもおもしろかったです。
ちょっと残念なのは好きなトロガイ師を登場させて欲しかったです。
トラックバックさせていただきました。
藍色 |  2010年10月12日(火) 16:01 |  URL |  【コメント編集】

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