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2009.10.25 (Sun)

ルート350


ルート350
(2006/4/18)
古川日出男

物語の終着点。
そこがどこなのか。
それだけ分かればいいなら、
誰も必死に物語を紡いだりしない。
読んだりしない。

ルートの上に、それはある。

【More・・・】

わかりにくい、とは違う。
むしろわりと単純な話なんだと思う。
なのになんだか煙に巻かれた気がするのは、
多分単に形のせいなんでしょう。
反復と分断と飛躍。
そういうものが突如出現して戸惑うけれど、
それでもどこもほつれない、壊れない。
強固な物語なんだなと思った。
どの短編を読んでも。

8つの短編、それぞれにぎょっとした。
現実にあり得そうな話はほとんどないのに、
どれを読んでも何か冷たいものが胸にくる。
恐怖とは全然別の、硬い何か。
物語の底にそれが整然と敷き詰められている、
とか、そんな想像をしてしまった。
それを名づけるなら、何だろう、真実、とか?
ぬう、どうもこの本に引きずられて
思考が観念的というか、概念的というか
妙な具合になっている模様です…。

特に、のものを挙げるなら、
「お前のことは忘れていないよバッハ」と
「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」と
「飲み物はいるかい」と「メロウ」でしょうか。
全然絞れてませんが、本当は「カノン」も入れたい。
つまりはこの短編集にメロメロということで。
旅の話と何かができる前の話が多い気もしますが、
直接的には、短編同士を繋ぐものはない。
にも関わらず、なんだかまとまりがある。
補記で古川さん自身が書いてますが、
形はバラバラなのに同じものを書いてるように見える。
ああ、だからどれかだけを特筆しづらいのか、とか
納得してみたり。

とにもかくにも、
親の身勝手から避難した少女たちのよりどころ、や
仮面の下で書く踊る戦う若者たちの交叉、や
旅と散歩や熟した子供たちの思考。
まあ、簡単に書けばこんな風になってしまうわけですが、
案の定、それぞれの物語の核はこんなところにはなく、
どこか一文に集約されることもなく、
多分それは均一に砕いて物語全体にまぶしてある。
「作者の言いたいことを一文で抜き出しなさい」なんて
アホらしい問いが全くもって似合わない。
この短編集に収められて話はどれも、
そういう話、なんだろうなと思う。
まあ、物語というもの自体がそういう性格のものな気もしますが。

古川さんの長編も読んでみたくなりました。

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