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2009.11.08 (Sun)

幽霊宿の主人 冥境青譚抄


幽霊宿の主人 冥境青譚抄
(1999/12)
波津彬子

彼岸とこちらの渡しをする者は
人ではなかったり
人だったモノだったり、色々。

青之介は、人。
こちらにしっかり根を張りながら
彼岸のモノを愛するような、そんな男。


【More・・・】

幽霊はあまり好みじゃないんですが。
なんだか人間味がありすぎて。
多分、青之介のように彼らと付き合うことは、
ときたま偶然に邂逅するよりも、悲しいし、痛い。
彼らの残した感情に引きずられることもあると思う。
でも、青之介はその想いを上回る力強さで、
彼らを愛おしんでいる気がする。
人間だった彼らを愛しいと思える青之介は、
人間そのものにも同じことを感じられるに違いなく。
羨ましいような、妬ましいような気持ちになった。

それにしても、青之介。
なんていい男なんだろう、と表紙を見るだけで嘆息。
実際いたら、うざったいか気障になりそうな長髪も、
達者な口も、和装洋装両方の見事な着こなしも
全く、嫌味なくらいキマっている。なんなんだこの人は。
「雨柳堂」の店番ほど抜けたところもなく、
贋作師ほどすれてもいない。
でも、立ち位置は件の店番に近い気がする。
いや、もっと積極的に踏み込んでるか。
それでも「水の中の月」での誘いを断るあたり、
この人は出自がどうでも、やっぱり人間なんだなと思う。
こちらに大切なものがあると、あの年ではっきり言えるなんて、
ますます、憎らしいくらい。

とまあ、眉目秀麗の主人の話はこのくらいにして。
連作短編八篇のうち、
「秋の寺」と「夕暮れの花」にはしてやられました。
単純に言ってしまえば、
寺小姓の悲恋と姉弟の情の話なんですが
嬉しそうに、そして悲しげに涙を流す寿々若の表情や、
弟のために怒りを炸裂させる夕花に、
いちいちぐわっとやられてしまう。
生きている者の、死んでも、なんていう修飾語が空々しいと思えるくらい
彼ら死者は途方もなく一途で純化されている。
たましい、とかいうモノは、元来そういうものなんでしょうが、
それを残させる何かは、生の内にある訳で、
その何かの存在が、自分には悲しく思える。
青之介はその何かを愛しているんだろうけれど。

「雨柳堂」よりは古い作品ですが
シリーズとしてはこっちの方が好きかもしれません。
幽霊が苦手、ってのは横に置いておくとして。
おそらくは青之介の立ち位置と、
物が必ずしも介在しない話の造りのために
なんだか彼岸が近くに感じられて、
変な話ですが、安心感があるような。
件の店番よりもあちら側よりのくせに
妙に足元のしっかりした主人の性格に依る部分も
多分にある気がしますが。
結局青之介の話ばかりで
大概自分もアレなのは自覚してますが、一応…。

続き、ないのかなとか思いますが
ない、んだろうな多分…。
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テーマ : 漫画 - ジャンル : アニメ・コミック


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